Nintendo Switchのもうひとつの新型高性能モデル 10月には発売か

Nintendo Switchに派生バージョンとして携帯専用機のモデル「Nintendo Switch Lite」が発表されましたが、Switchにはもう一つ、高性能になった新型が存在すると言われています。Switch Lite正式発表に伴い今まで出てきていた新型Switchの情報が噂ではなく事実だったことが分かり、未発表のもう一つの高性能版(一部でPro版と呼ばれているモデル)に注目が集まっています。

その高性能版Switchの情報を集めてみたところ、ある一つの可能性が見えてきました。それは高性能版Switchの年内発売です。

ゲーム機の新型モデルについての情報は、関係者からのリーク以外にシステム内のデータに隠されていることがあります。

hexkyz氏がSwitchのファームウェア5.0.0を解析した情報の中から新型ハードウェアに関連すると思われるものをツイッターで公表しました。hexkyz氏はVitaシーンでTeam Moleculeのメンバー(xyz氏)として活躍していた人物で、今はSwitchシーンでも活動中です。

その内容は以下。

・ファームウェア5.0.0は3種類のハードウェアをサポートしている。1つはSwitchオリジナルのTegra 210で、あと2つはコードネームMarikoのTegra 214(Switch Liteと現時点で未発表の”新型”となるSwitch)である。

・T214にはSwitch Liteと”新型”Switch両方にnx-abca2、nx-abcb、nx-abccの3種類が存在する。現行T210モデルはnx-abca2(市販機と評価機)、nx-abcb(メモリー最大3GBを搭載できデバッガを実装した評価機)の2種類。

・オリジナルSwitchは4GB RAMで開発機は6GB。2種類の新しいSwitchとなるSwitch Liteと”新型”Switchは4GBと8GBのRAMをサポートしている。

・現行モデルはLPDDR4 DRAMだがSwitch Liteと”新型”Switchは低電圧・低消費電力のLPDDR4X DRAMを採用し10nmプロセスをサポート。

・Switchは小型スクリーンのコントローラー一体型だが”新型”Switchは現行モデルと全く同じ。

・”新型”SwitchのGPUはクロック周波数が高く、パフォーマンスが若干向上する可能性がある。

・”新型”Switchでは32GBよりも容量の大きなメモリを搭載する可能性がある。

・”新型”Switchはファームウェアの中でコードネーム”Iowa”(市販機)と”Calcio”(不明)として書かれている。さらにそのうち片方は内蔵ストレージがより大きいと思われる。

・”新型”Switchは正統進化版やPro版と呼ばれる高性能版という噂がある。高性能なPro版はSoCに現行モデルのNVIDIA Tegra X1(20nmプロセスルール)後継のTegra X2(16nmプロセスルール)のカスタマイズ版を採用しパフォーマンス向上、メモリ改良といった内容だがファームウェアの中には高性能なPro版としての証拠は一切存在しない。

公式には未発表であるSwitch LiteのSoCに関してですが、AnandtechがSwitch LiteのSoCは16nmないしは12nmプロセスのTegra X1ベースではないかと報じており、その記事をNVIDIAの公式ツイッターアカウントがリツイートしているため、Anandtechの考察が正しい可能性が高いと言えます。(ななしさん情報ありがとね)

#WePowerIthttps://t.co/l3AKDR1pD4

— NVIDIA GeForce (@NVIDIAGeForce) July 11, 2019

hexkyz氏の情報だと、未発表の”新型”Switchは高性能版ではなく純粋なマイナーチェンジ版が濃厚です。ファームウェアのデータの解析結果ですのでこれが最も真実に近いと言えます。

それを裏付ける情報をTheVergeが伝えています。
その内容は、任天堂がFCC(Federal Communications Commission:米連邦通信委員会)へ7月2日に提出した書類が公開され、Nintendo SwitchのオリジナルモデルからSoCとNANDメモリ、CPUボード(SoCとNANDが実装された基板)を変更申請していたことが明らかになったというものです。

この変更申請は”Class II Permission Change”というもので、アメリカでの販売に当たり、機器をすべて再認証するのではなく一部のみ変更するための許可申請書類です。

この変更申請とファームウェア5.0.0の中身の情報を合わせると、任天堂が計画していたSwitchの2種類の新モデルというのは先日発表された携帯モード専用機 Nintendo Switch Liteと、SoCをTegra 214に変更しNANDメモリを変更(32GBから増量か?)したマイナーチェンジモデル(型式はHAC-001で変わらず)と言うことになります。

もともと新型Switchが2種類用意されているとの情報はThe Wall Street JournalとEurogamerが伝えたものですが、実は両者とも既に発表された携帯専用のLiteモデル以外のモデルに関しては

・コアゲーマーがターゲットだが、PS4 ProやXbox One Xのような高機能モデルの位置付けにはならない(The Wall Street Journal)
・コアゲーマー向けとされるモデルは3DSがNew3DSになった時と同じでスペックは多少向上するものの、大幅なものではない(Eurogamer)

としています。私もSwitchのPro版という海外記事の表記に流されていて、Liteと高性能モデルの2種類という感覚があったのですが、実際にはいつのまにかどこかのサイトが高性能なPro版と表記してSwitchの高性能モデルというイメージが一人歩きしていただけではないかという気がします。

ニンテンドーオブアメリカ社長のDoug Bowser氏はSwitch Liteが年内に発売する唯一のハードウェアだと語っていますが、SoCを変更する”新型”SwitchとSoCの異なる現行モデルを2モデル同時に生産するのは効率が悪いはずです。

新型Switchについて結果として正しい情報を伝えていたことになるThe Wall Street Journalも新型モデル2種類の生産を既に開始していると報じていますので、Marikoの”新型”Switchは新ハードウェアとして発売する形を取らず(プレスリリースは出さない)型式も変わらずにある日突然市場に流通し始めることになるのかもしれません。ターゲットとなるのはSwitch Liteの発売日と同じ9月20日前後でしょう。

つまり、いわゆる噂のSwitch Proはお値段そのまま見た目も変わらない”新型”Switchとして9月20日前後に流通し始めることになります。要するにSoCをMarikoに変えて若干性能的には向上しているかもしれないが基本的には中身をマイナーチェンジしただけのものがProモデルとか高性能版と呼ばれていた”新型”Switchの正体ということです。10月には確実に市場に出回っているのではないでしょうか。