Nintendo Switchのカスタムファームウェア起動に必要なものをまとめて配布していたShallowSeaとNeXTがDMCAテイクダウンノーティス(削除通知)によりリポジトリにアクセスできなくなっています。
DMCA(Digital Millennium Copyright Act)はアメリカのデジタル・ミレニアム著作権法のことで、デジタルコンテンツの著作権に関する法律です。デジタルコンテンツを保護するための権利や、違反に対する罰則が規定されています。
アメリカの法律で、GitHubはアメリカのカリフォルニア州のサンフランシスコに本社をおいていますのでDMCAが適用されます。
DMCAテイクダウンは著作権を侵害されている側がそれを提供しているサービス側に対して通知をする行為で、DMCAテイクダウン通知を受け取ったサービス提供側は実際に著作権を侵害しているか否かの事実に関係なくコンテンツ削除義務があり、従えばそれ以降責任は負わなくていいとされています。
ShallowSeaとNeXTは、ダウンロードしたコンテンツをそのままSDカードにコピーするだけでSwitchのカスタムファームウェアAtmosphereが起動できる準備が簡単に行えるようになるというもので、このブログでは「オールインワンカスタムファームウェアパッケージツール」と呼称しているものです。必要なファイルをあちこちからダウンロードしてこなくても済むようまとめて配布しているだけです。
今回GitHubのShallowSeaとNeXTのコンテンツに対し、「著作権を侵害しているから消せ！」と著作権所有者に言われたので、GitHub側がコンテンツを削除したという状態です。誰が削除要請をしたのかは不明ですが、任天堂からの削除要請があったようです。
現在SwitchのカスタムファームウェアAtmosphereが更新される度にアップデートしている、同様の「オールインワンカスタムファームウェアパッケージツール」にはShallowSeaとNeXTの他にDeepSeaとAtmoPack-Vanillaがありますが、DeepSeaとAtmoPack-VanillaのGitHubリポジトリにはアクセス可能です。
ShallowSeaおよびNeXTとDeepSea、AtmoPack-Vanillaの違いはkip_patchesフォルダの中身の有無です。おそらくそれがDMCAテイクダウンで消されたか残されたかの違いです。
AtmoPack-Vanillaについては、もともと署名パッチを入れていましたがAtmoPack-Vanilla 2.6.2を3日前に更新しており、このように記述しています。
Removal of sigpatches at Nintendo’s request
任天堂の要請に伴い署名パッチを削除
AtmoPack-Vanillaだけに削除要請があった訳ではなくShallowSeaおよびNeXTにも同様に要請はあったはずです。リポジトリを更新して残ったのがAtmoPack-Vanillaで、消されたのがShallowSeaとNeXTということになります。
DeepSeaはもともと2020年に削除要請を受けたときに署名パッチを「以前のビルドからもこれからリリースする未来のビルドからも削除することにした」と発表しており、それ以来署名パッチを配布していません。
署名パッチはkip_patchesフォルダに含まれているものです。Nintendo SwitchのカスタムファームウェアのAtmosphereで非署名NSPや変換XCI(違法コピーもこれに含まれます)をインストール・起動(違法コピー含めたバックアップ起動を可能にするためには署名チェックを回避する必要がある)するために必要なものです。現在アクセスできるDeepSeaとAtmoPack-Vanillaではkip_patchesフォルダは存在するものの中身は空です。
Nintendo Switchの署名パッチについては過去にDMCAテイクダウンで一斉撤去されたこともあり、著作権侵害に当たる可能性があると言われています。
GitHubでアクセスできなくなったNeXTに関しては、Codebergにリポジトリが移され、NeXT 3.05が昨日から公開されています。もちろんkip_patchesフォルダの中身は空のままです。