Wii UのHomebrew環境 Aroma Public Beta by Maschell

GBATempで、Maschell氏がNintendo Wii UでHomebrewを起動できる環境を構築するAromaのパブリックベータ版を公開していました。

Wii-U

本来は数日前に記事にしようと思っていたのですが、時間がなくて後回しになっていました。その理由は個人的に「Wii Uは既に…以下略」という状態のせいですが、Wii Uシーンの大きな転換点でもあったので、既にAroma対応Homebrewが出始めてきています(GameGaz Dailyで何気に既に複数紹介しています)。少し遅れましたがなんとなく紹介だけしておきます。

AromaはDSバーチャルコンソール内のROMローダーの脆弱性を利用したWii UのColdboot exploitであるFailSTを利用し実用化したもので、AromaをインストールすることでWii UでHomebrewを起動することができるようになります。今まではHomebrew LauncherからHomebrewを起動していましたが、AromaによってWii UメニューからHomebrewを直接起動できるようになります。現時点での最新版はAroma Beta-2です。

Aromaはカスタムファームウェアとは異なりますが、「Homebrewを起動できる環境」ですので似たようなことはできます。ソニーのゲーム機で言うところのHEN(Homebrew Enabler)のようなものというイメージでいいかと思います。特徴としてはDSの生け贄ゲームが不要なことと、Homebrew起動やプラグインによる機能追加ができるということです。

ここ数年、Wii UのHomebrew環境に取り組んできました。そうしてようやくパブリックベータにたどり着きました。Aromaをお楽しみ下さい。

Maschell氏はWii Uハックの手順を簡略化できるというAromaをかなり以前から開発に取り組んでいましたが、開発には時間がかかるとして先にDSの有料タイトルを使わず無料でHomebrew LauncherをHOMEメニューに追加(MiiMaker(Miiスタジオ)にインジェクト)するTiramisu(ティラミス)がリリースされていました。Tiramisu(ティラミス)と共に環境を読み込むペイロードであるEnvironmentLoaderもリリースされています。AromaとTiramisuは共存関係にあるためEnvironmentLoaderを使ってAromaを起動するかTiramisuを起動するか選ぶようになっています。

必要なものはhttps://aroma.foryour.cafe/でダウンロードできます。
ベースとするペイロードのEnvironmentLoaderもここでダウンロードできます。ウェブサイトで必要なものを選択してダウンロードするという仕組みですがEnvironmentLoaderとAroma本体は最初からダウンロード項目にチェックが入っていますので簡単にダウンロードできます。追加機能のプラグインやモジュールは任意で選択してダウンロードします。

AromaはTiramisuとは別物ですが、インストールは同じEnvironmentLoaderを使い回せます。インストール方法はTiramisuのインストール方法と同じで、必要なファイルをSDカードのルートにコピーします。

TiramisuをインストールしていてAromaへ切り替えたい場合はAromaをダウンロードしてSDカードへコピーしEnvironmentLoaderで環境を「aroma」に切り替えるだけとなっています。

EnvironmentLoader

Homebrewについては、仕組みが変わったのでAroma用にビルドし直す必要があります。WUHB(Wii U Homebrew Bundle)という形式でHomebrewアプリケーション実行ファイル本体と追加ファイルを1つのファイルに保存しています。そのため配布とインストールが簡素化されます。Wii UのHomebrewはHomebrew Launcherから起動するのが半ば常識になっていますが、AromaのWUHB形式ではWii Uメニューから起動できます。

Aromaのツールやモジュール、プラグインはモジュール式となっているため、機能を簡単に追加したり削除したりできるようになっています。

何も機能を追加していない標準状態のAromaの機能は以下です。

・Wii Uのファームウェア5.5.5および最新の5.5.6に対応
・起動に有料のゲーム不要の無料で永続的に利用できるエントリポイントあり
・Webkit exploitなど既存のエントリポイントと互換性あり
・セットアップはファイルをSD カードにコピーするだけ
・モジュールの組み込みをサポート
・Wii Uのプラグインシステムをサポート
・モジュールとプラグインは個別のメモリヒープを使用し安定性を向上
・プラグインとHomebrewを同時使用可

機能拡張のためのプラグインは既に以下のものが用意されています。

●Homebrew Launcherを使わずWii Uメニューから直接Homebrewをロードすることができるプラグインhomebrew_on_menu_plugin v0.1

●バックグランドでFTPサーバーを実行するプラグインftpiiu_plugin v0.1.1

●Homebrewやプラグインをネットワーク経由で起動できるWiiloadをサポートするプラグインwiiload_plugin v0.1

●異なるリージョンのWii U GamePadを組み合わせることができるプラグインdrc_region_free_plugin v0.1

●異なるリージョンのゲームを起動することができるプラグインregion_free_plugin v0.1

余談です。Aromaを試してみたかったのですが我が家では予想以上にデカかったPS5がやってきたときから邪魔になったWii Uは押し入れの中にしまわれてしまっています。Wii U GamePadがデカすぎて邪魔になったのがきっかけですが、つくづくWii Uは不運なコンソール(我が家的には)だなと思います。