Team Xecuter裁判 Gary Bowser(GaryOPA)被告「オレは質素な暮らし」を証明するボロアパート写真

Viceで、Team Xecuter裁判の中でGary Bowser(GaryOPA)被告が減刑を主張して裁判所に証拠として提出していた写真が公表されていました。

legal action

Team Xecuterのメンバー3名(Gary Bowser被告、Max Louarn被告およびYuanning Chen被告)がNintendo SwitchのカスタムファームウェアSX OSの販売やMODチップSX Core/Liteの販売で著作権法違反に問われた事件。

Gary Bowser(GaryOPA)被告は、刑事裁判で起訴事実を認め、損害賠償金450万ドル(約5億1700万円)を自主的に支払うことになり、かつ民事裁判では1,000万ドル(約11億5000万円)の損害賠償金を任天堂に支払うことで任天堂と和解することに同意しています。

刑事裁判の中で検察側は犯罪行為には必ず結果が伴うのだというメッセージを送る必要がある」として懲役5年の実刑判決を求刑しました。

Gary Bowser被告側は容疑は認めながらも自分は首謀者ではないとして5年より短い19ヶ月(1年5ヶ月)の懲役への減刑を求めていました。その根拠としてGary Bowser被告は裁判の中で同じく起訴されたYuanning Chen被告と共にMax Louarn被告の下で運営を手伝っていたに過ぎず、自分は出身地のドミニカ共和国で質素なアパート暮らしをつつましくしていただけだが、Max Louarn被告はフランスで「贅沢な休暇とパーティー」を楽しんでいたと主張していました。

最終的には米連邦裁判所はGary Bowser(GaryOPA)被告に懲役40ヶ月(3年4ヶ月)の実刑判決を言い渡しましたが、今回Viceが伝えたのは、Gary Bowser被告側が判決が出される前に主張していた「自分は質素なアパート暮らし」で「Max Louarn被告はフランスで贅沢な休暇とパーティーを楽しんでいた」と主張した際に証拠として裁判所に提出していた写真です。

まず、Gary Bowser(GaryOPA)被告の「質素なアパート」写真3枚。

Bowsers home1

Bowsers home2

Bowsers home3

確かに質素と言えば質素。少なくとも有り余るカネを持っている人物が暮らしているとは思えない写真という印象です。ボロアパートといえばそう見えます。

一方で、Gary Bowser被告からすれば主犯格であるMax Louarn被告はFacebookに世界中を旅した写真をアップしており、豪遊していた証拠としてFacebookに上げていたパリの5つ星ホテルの豪華なプールでのスナップショット写真が裁判の証拠として提出されました。

Louarn stayed at five star hotel in Paris

これら写真は裁判所に提出する証拠ですので、少なくとも偽証や著しい誇張ということはいだろうと予想されます。確かにこれを見ると、一連の事件の主犯格扱いとして裁きを受けたGary Bowser被告は、Team Xecuterという「組織」の一構成員(雇われ社員的立場)でしかないにもかかわらず全責任を負わされた印象を持ちます。

ただ、身近な例で例えればオレオレ詐欺に代表される特殊詐欺事件で受け子(Gary Bowser被告の立場)が逮捕されて裁かれて叩かれ、元締め(Max Louarn被告の立場)は逮捕されたものの裁判が進んでおらず何の報道もされていない状態、といったところでしょうか。受け子は「自分は主犯ではない、大して報酬を得ていない」と主張したところで被害者からすれば「お前も同罪」なのは当然です。全責任を負わされたところで擁護する第三者はいません。

Gary Bowser被告が支払うことになった損害賠償額は任天堂が著作権侵害によって失った被害額かというと、おそらくそうではありません。しかしながら実際の被害額を正確に算出することは難しいでしょう。Max Louarn被告の裁判では、更に高額な損害賠償額が出てきても不思議ではありません。

任天堂としては被害額回復よりも抑止力としての見せしめの裁きを重視しているため今回の判決に満足し、「任天堂とビデオゲーム業界に深刻な被害をもたらすことになる世界規模の違法行為を抑制するための、検察と司法機関の懸命・不断の努力に感謝します」とコメントしました。任天堂の言うとおりシーンでは名の知れたGary Bowser(GaryOPA)被告の判決がもたらす抑止力は計り知れないものがあります。

これを機にゲームシーンが健全な方向に進んでくれることを期待しますが、唯一不安に感じるのは、JailbreakによるHomebrew起動=犯罪というレッテルが貼られてしまうことです。ゲーム機でブロックされていた機能をアンロックすること(Jailbreak)と海賊版コピーゲーム起動は表裏一体のところがありますので、難しい問題であることは確かです。