PlayStation Universeで、ソニーの次世代機PlayStation 5はAMDのRDNA 2に加えてRDNA 3もサポートする可能性があると伝えていました。
先日公開されたPlayStation 5のハードウェア技術仕様では、PlayStation 5はレイトレーシングに対応するRDNA 2ベースのカスタムGPU(RadeonベースのGPU)になると書かれています。
RDNA 2はアメリカの半導体メーカーであるAMDが計画しているコンシューマー向けの次期GPUアーキテクチャで、2020年内にも製品を市場に投入する予定となっています。
AMDの最新GPUアーキテクチャはRDNAですが、RDNA 2はRDNAの1.5倍の性能を持ち、かつハードウェアレイトレーシングに対応することが発表されています。
レイトレーシングとは英語で”ray tracing”と書き、光による見え方を再現する手法で物体の反射率や透明度、屈折率などを忠実に反映させたリアルな映像を得ることができます。これをソフトウェアではなくハードウェアレベルで計算して映像に反映させるのがハードウェアレイトレーシングです。
更にAMDは2022年までに次々世代のRDNA 3を投入する計画があり、製造プロセス(RDNAとRDNA 2は7nm)の切り替えが行われると考えられています。性能もRDNA 2から更に上がりますが、それ以上のことはまだ公開されていません。
RDNA 2アーキテクチャのPlayStation 5は2020年発売ですのでライフサイクル中にRDNA 3アーキテクチャのGPUが登場することになりますが、なんと、PlayStation 5はRDNA 2のみならずRDNA 3もサポートする可能性があることが分かりました。
PS5 supports all RDNA 2 features including VRS. But it doesn’t end there, it will support features that are exclusive to the platform and some RDNA 3.
— Tidux (@Tidux) May 1, 2020
PS5はVRSを含めたすべてのRDNA 2の機能をサポートしますが、それだけではありません。プラットフォーム専用の機能と、そしてRDNA 3もサポートします。
VRSというのは”Variable Rate Shading”(可変レートシェーディング)のことで、シェーディングレート(各ピクセルに対して呼び出されるピクセルシェーダーの処理数)を下げてGPU負荷を減らす機能のことです。わかりやすく例えると、4K出力するにしても映像にディテールを必要としない部分はフルパワー使わずに上手に手を抜く技術です。
実は、このTidux氏の発言がPlayStation Universeの情報ソースなのです。
Tidux氏は過去に私も何度か(こことかこことかこことかで「業界通」な人物という扱いで出てきます)記事を書いていますが、信頼度の高い情報を持っている印象はあります。
が、RDNA 3サポートとはどういう意味なのでしょう。
原文は
it will support some RDNA 3.
という表現になりますので普通に訳せば「一部RDNA 3をサポート」となりますが、そもそも先ほど書いたとおりRDNA 3は詳細がおそらく固まっていないこれからのアーキテクチャですので一部機能という言い方で言及する価値はありません。あるとすればsome(スゲェ)というニュアンスのRDNA 3でしょう。
となると、考えられる可能性はPlayStation 5モデルサイクル途中でのGPUアップグレードを伴うProモデルの追加です。なお、PlayStation Universeではそこまでの予想はしていません。機能が強化される計画があるのはいいことだ、というニュアンスの記事になっています。
Tidux氏は今までの発言からソニーの中の人、または中の人と接点のある人物である可能性が高そうですので「PS5を知っている」可能性があります。PS5のライフサイクル計画の中にRDNA 3アーキテクチャのGPUを載せる計画が今の段階では存在するのかもしれません。
実際製品としてRDNA 3 GPUを採用するかどうかは別問題ですが、もしその予想通りの展開になったとするならばグラフィックが強化された、性能としてはモデルチェンジに近いProモデルの登場ということになります。ユーザーとしては楽しみな反面、高性能一辺倒ではコスト面が心配です。