ツイッターで、SKGleba氏がVitaにはファームウェアチェックスキップモードが存在することを公表していました。
通常Vitaをアップデートする際、古いファームウェアにすることはできないなど、内部に何らかのチェック機能を持っていることは明らかです。ファームウェアのダウングレードというのはゲーム機のハッキングの中でも高度な技術が必要ですが、普通に古いファームウェアのデータを用意してアップデートをかけたらその古いファームウェアに戻ってくれたらどんなに楽だろうと思ったことがある方は少なくないと思います。
そんな嘘のような機能が実はVitaには実装されていた、というお話です。最近dsll-mdr72(decsecldr[LITE])やmodoru v2.0をリリースしたSKGleba氏の情報です。
"Secret firmware-checks-skip mode in bootloaders" is real.
Now we can just flash the raw partitions effectively up/downgrading the vita.
This will allow us to downgrade when the lv0 update_sm vuln exploited by dsll/modoruv2 gets patched in .73. That is unless sony finds the meme. pic.twitter.com/V1FnweIBF7— SKGleba (@skgleba) September 5, 2019
「シークレットファームウェアチェックスキップモードがブートローダにある」というのは事実。実際Vitaをアップグレード/ダウングレードするためパーティションに書き込むことはできる。dsllやmodoru v2.0で使っているlv0 update_smの脆弱性が3.73で仮に対策されたとしてもダウングレードする手段は存在するはず。ソニーがミームを見つけない限りは。
meme(ミーム)という言葉がキーワードになっているかのような文章ですが、ミームとは、Weblio辞書によると
memeとは、情報や文化が発生し、模倣によって伝達され、そして淘汰されてゆく、その一連の有様を遺伝子による適応進化になぞらえた概念のことである。オックスフォード大学の生物学者リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)が著書『利己的な遺伝子』(1976年)の中で提唱した概念であり、ギリシア語の「mimeme」(模倣する)と英語の「memory」(記憶する)を掛け合わせた造語である。「摸倣子」や「摸伝子」、あるいは「意伝子」などと和訳されることもある。
日本ではあまりなじみがない言葉ですが、海外ではSNSでよく使われる「流行り物系面白ネタ」的な使い方されていることが多いです。SKGleba氏がどういう意図でmemeを使ったのかは実際のところ本人しか分かりませんが、意味合い的には「ソニーが革新的手段で対応策を講じない限りはダウングレードできる」という程度の内容であり、実際にはSKGleba氏のコメントのキーワードにはなっていません。
ただし、この「シークレット」な「ファームウェアチェックスキップモード」はブートローダに実装されているものであり、通常は使えないから「シークレット」なのです。ブートローダからOSが起動した後では「ファームウェアチェックスキップモード」には入れません。Vitaにはリカバリーモードがありますが、それより権限的に高位のファクトリーモードのようなモードに入る手段が見つかれば、ファームウェアチェックをバイパスしてVitaをダウングレードできるようになるかもしれません。