任天堂の宮本茂氏 引退騒動の真相

Kotakuで、『マリオ』や『ゼルダの伝説』など数々のヒット作を生み出した任天堂の専務取締役 情報開発本部長 宮本茂氏が任天堂の現ポジションを引退して今後は若手中心の小規模プロジェクトに専念したいと語ったことを伝えていました。

海外では絶大な人気と知名度を誇る宮本氏が引退をほのめかしたという進退報道でなんと任天堂の株価が下落しましたが、ブルームバーグが任天堂に電話取材したところ広報担当の豊田憲氏が、今後も有力ソフトの開発から退くことはなく、地位にも変更はないと引退報道を否定したそうです。

実際には「ソフト開発陣が十分に育ってきたことから関与の度合いを減らし、その余力を若手育成に使いたい」との意向を語っただけでした。

なぜこんなことになったのか、実際にインタビューを行ったWiredの記事を見てみました。

“Inside our office, I’ve been recently declaring, ‘I’m going to retire, I’m going to retire,’” Miyamoto said through his interpreter. “I’m not saying that I’m going to retire from game development altogether. What I mean by retiring is, retiring from my current position.”
社内で最近こう宣言したんです。「俺は引退するぞ、俺は引退するぞって。」宮本氏は通訳を通してそう話しました。「ゲームの開発から完全に手を引こうと言っているわけではないですよ。私が言ってる引退というのは、現在のポジションからの引退ということです。」

“What I really want to do is be in the forefront of game development once again myself,” Miyamoto said. “Probably working on a smaller project with even younger developers. Or I might be interested in making something that I can make myself, by myself. Something really small.”
「ぼくが本当にしたいことは、自分自身もう一度ゲーム開発の最前線に立つということです。」と宮本氏。「まあ、もっと若手の開発者と一緒に小規模なプロジェクトをやりたいみたいな。つまり、自分が自分でできる範囲のものを作ることに興味があるんでしょうね。ホントに小規模な何かをね。」

原因はどうも通訳を通したからのようです。

わざわざ通訳を介したことを記事に掲載している時点でWiredももしかするとニュアンスが異なって伝わることを危惧したのかもしれません。

実際に宮本氏が日本語で何を言ったのかは分かりませんが、同時通訳できる方がニュアンスを誤って伝えるなどということは死活問題ですので絶対にしません。Wiredの通訳さんがきちんとニュアンスを汲み取って通訳したのを前提に日本語にしてみると、宮本氏は要するにゲームを自分で作ることができる立場に戻りたい、若手と一緒につくりたいという思いを発しただけで実際に引退するとは一言も言っていません。経営陣として存在する自分の立場では限界があるためで、気持ちとしてはお偉いさんを引退して一開発者としてゲームを作って次世代の開発を担う若手を育てたいと思っているようです。

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