TorrentFreakで、GitHubが『Grand Theft Auto III』をリバースしてPCでプレイできるようにしたプロジェクトre3と『Grand Theft Auto: Vice City』をリバースしたreVCのソースコードをリポジトリに復活させたことを伝えていました。
re3とreVCは本物のゲームをリバースしたPC版ですが、すべてのコンテンツをリバースして含んでいるわけではなく、一部のゲームデータ(アセット)は含んでいないため動作させるには本物のゲーム自体が必要です。またソースコードとして公開されたことから他のプラットフォーム向けの移植なども進みました。例えばre3にはPC版をベースにVitaへ移植した(re3-vita)やSwitchに移植した(re3-nx)、Wii Uへ移植した(re3-wiiu)などがあります。前回のDMCAテイクダウンによってGitHubは今年2月にre3とreVCとそのプロジェクトをコピーしたフォークのコンテンツを軒並み削除しました。
それらがすべて復活公開されるのがシーンにとって最も有益ですが、コード公開が復活したのは実はtd512氏のre3フォークだけです。
td512氏は先月、自身が管理するre3のフォークがしかるべき理由もなく削除されたとしてGitHubに対して異議申し立ての通知を行いました。
td512氏の主張は、re3のコードはリバースエンジニアリングによるもので単なる逆コンパイルではいため、機能的には同じかもしれないが同一のものではなく、Take-Twoの著作権侵害の主張は今回のケースには当たらないというものです。td512氏はTorrentFreakに対し、re3のリバースされたコードは著作権侵害を主張しているパブリッシャーTake-Twoのオリジナルコードとは同一のものというわけではないため、パブリッシャー側はそのコードの著作権を主張することはできないのだと語りました。
このtd512氏の異議申し立てによりGitHubはソースコード公開を復活させました。こういったいきさつのためリポジトリでのソースコード公開復活はtd512氏のre3だけになっています。
ただしtd512氏の主張をGitHubが全面的に認めたという話ではありません。DMCAのルールでは、権利者から異議申し立てがあった場合には10日から14日以内に公開を復活させ、後は当事者間での訴訟で判断してくださいということになっています。要は主張の中身の正当性ではなく異議申し立てがされたかどうかの事実が公開復活の基準でしかないと言えます。
td512氏のところには削除時にパブリッシャーのTake-Twoからは何の通知も一切なかったようです。おそらく誰のところにも直接通知したりしていないでしょう。ある意味力ずくで上から押さえつければ黙って言うこと聞くだろうという無言の圧力です。
異議申し立てをした以上、td512氏はTake-Twoと法廷で争う意思があると受け取られてもやむを得ない状況になりましたが、td512氏はこれ以上Take-Twoは追求してこないのではないかと考えているようです。その場合彼のre3のコードは公開されたままということになりますが、Take-Twoに法廷へ引きずり出された場合、一個人がパブリッシャーと争う羽目になるかもしれません。