GitHubで、 balika011氏がパンドラバッテリーまたはBaryon SweeperでPSPを起動させ、そのまま直接カスタムファームウェアや公式ファームウェアをインストールすることができるユーティリティDespertar del Cementerio 9.00をリリースしていました。
PSP時代のCFW第一人者Dark_AleX氏(現在は引退しその後の消息不明。PSPシーンでは伝説のハッカー扱い)が開発したDespertar del Cementerio v8の後継として開発されたもので、Baryon SweeperによりPSP-2000のTA-088v3基板モデルやPSP-3000(ただし03gモデルのみ)でも使えるようになったことが大きな特徴です。
Despertar del CementerioはJigkickバッテリー(パンドラバッテリー)を装着してPSPの電源を投入することでPSPの隠しモード(サービスモード)に入れ、メモリースティックのデータを起動させる仕組みを利用して破損(brick)してしまったNANDメモリーであっても書き換えができるようにするものです。かつてはbrickしてしまったPSPの復旧が売りでしたが、今となっては任意のカスタムファームウェアや公式ファームウェアをNANDに自由にインストールすることが主な利用目的です。他にもNANDのダンプやリストア、IDStorageキーの生成などの機能もあります。
今までのDespertar del Cementerio v8は対策基板と呼ばれたPSP-2000のTA-088v3基板以降(PSP-3000以降も含む)には非対応でしたが、JigKickサービスバッテリーエミュレーターBaryon Sweeperの登場により対策基板と呼ばれたモデルでもJigKickバッテリー(パンドラバッテリー)機能が有効にできるようになったことからDespertar del Cementerio v8の後継として開発されました。
Despertar del Cementerio 9.00 is now released for PSP-1000, PSP-2000 and PSP-3000 03g. Time to repair those bricked PSPs! https://t.co/NjZXzTdL1O
— Balázs Triszka (@balika011) May 1, 2021
Despertar del Cementerio 9.00のリリースです!PSP-1000とPSP-2000、PSP-3000 03g(最初のモデル)向けになります。brickしたPSPをリペアできるようになります!
使い方は簡単で、GitHubからリリースファイルのTM.zipをダウンロードして解凍し、TMフォルダをメモリースティックのルートにコピーしてから、メモリースティックから起動させるために必要な、今風に言うとペイロードに当たるmsipl.binをメモリースティックにインジェクトするだけです。インジェクトですのでファイルコピーではできません。アプリケーションを使ってメモリースティックの特殊領域に書き込む必要があります。
PSPは起動時にNANDやメモリースティックに用意されているIPLと呼ばれる特殊なブロックをローダーが読み出して復号化して検証して起動という手順をとります。メモリースティックからPSPを起動するために必要なものがそのmsipl.binです。
msipl.binをインジェクトするには以下のツールを使います。以下の2つは balika011氏が動作検証したものだそうです。
- PSPのメモリースティックにIPLコードを書き込むPythonスクリプトmsipl_installer
- PSPで動作するマルチパーパスユーティリティPSP Tool 1.00
PCにPythonをインストールする必要があります。実行はコマンドラインです。
PSP Toolsを使えばPSP単体でインジェクトできるので便利です。PSP ToolsをメモリースティックのGAMEフォルダにコピー(ダウンロードしたアーカーブを解凍して出てきたPSPフォルダをそのままメモリースティックのルートにコピーでも可)します。そのそもCFW化したPSPでしかPSP Toolsは起動できませんのでご注意下さい。
PSP Toolsを起動し、メニュー内の
Inject IPL to Memory Stick
を選択(×ボタン)、更に詳細メニューが出てくるのでIPL from ms0:/ipl.binを選択するとメモルースティックのルートにあるipl.binをインジェクトします。
Despertar del Cementerio 9.00ではipl.binがmsipl.binというファイル名でTMフォルダ内にあるので、メモリースティックのルートに移動させてファイル名をipl.binにしないといけないと思います。
Despertar del Cementerio 9.00をメモリースティックから起動するためにはPSPを以下のいずれかの方法のいずれかでPSPをサービスモードで起動させます。
- PSP-1000の場合: パンドラバッテリー
- PSP-1000/2000/3000(03g)の場合: BaryonSTMまたはBaryon Sweeper
BaryonSTMというのはbalika011氏が開発したものですが、詳細記述がないため使い方が分かりません。専用ハードを作らないといけないようなので(Baryon Sweeperもですが)使用へのハードルは決して低くはないみたいです。
BaryonSTM Hardware v2 pic.twitter.com/mWICRixtE0
— Balázs Triszka (@balika011) April 14, 2021
まだPSPを使用しているユーザーさんはほとんどいないと思うのでDespertar del Cementerio 9.00の需要は少ない気もします。特にbrickしたPSP-3000を大切に保管し続けていた人しか食指が伸びないでしょうからね。