本記事は下記の続きです。
PixelJunkシューター〜PS3のダウンロード専売ゲームにハマる
3. 海外でのPixelJunkシューターの評価
海外では評判がいいっぽいキュー・ゲームスのPixelJunkシューターですが、海外サイトでのレビュー記事を得点化してまとめているmetacriticの評価を見てみました。
metacriticでは75点以上のスコアのゲームがいわゆる合格スコアのようです。【情報源:metacritic】
PixelJunk Shooter
総括
総合点 86点
[Playstation Network] PixelJunk Shooterは地底探索挺のコクピットに乗り込み、多種にわたる複雑な洞窟の中を周囲のダイナミックな地形に影響を受けつつステージを進めていくゲームです。躍動感あふれるステージとなるの洞穴内に点在するように残された生存者を助けながら、 水やマグマのような液体、岩石や地中のような個体をある時は破壊し、時には操り、そしてまたあるときは移動させつつゲームを進めていきます。攻略のポイントは戦略です – 生存者を救助中には様々な敵が現れて攻撃を仕掛けてきます。操作する機体は熱に非常に影響を受けやすく、マグマのような高温の液体に近づくとオーバーヒートを起こします。一度プレイすると高精細なグラフィックもさることながらオリジナルの音楽とも相まって病みつきになる類いのゲームです。ゲームを進めていくごとに地形や環境が変わってレベルが上がっていきます。スコアやゲームの進行状況はオンラインランキングに登録でき世界中のプレイヤーと共有できます
評論家の評価
評価はすべて100点満点です。具体的にスコア表記をしていない場合はレビューの文脈をスコアに換算しています。
1UP : 100点
常に独自の視点を持つPixelJunkシリーズにあって、特にこのShooterは際立っています。
Kombo : 95点
自称ゲーム好きをでオンラインストアに魅力を感じているなら、Shooterをプレイしないという理由はありません。
IGN : 91点
シンプルでありながら癖になる。それがQ-Gamesにユーザーが期待している魅力です。素晴らしさにあふれた構成がプレーヤーを虜にさせます。間違いなく、プレイしないと損をします。
VideoGamer : 90点
すぐにゲームオーバーになってしまいますが、それでも続ける価値があります。水が溶岩に触れると…あとは価格を聞いてみたいですね。
WonderwallWeb : 90点
Pixeljunk Shooterは独特の思わず夢中になりそうなシューティングゲームです。常にプレイ中は思考を巡らせなければなりませんがまたそれがまた魅力です。値段がいくらなのか気になりますが、非の打ち所がないゲームですのでそれなりに高くてもいいのではないでしょうか。
Gamer Limit : 90点
PixelJunk Shooterはシンプルでありながら楽しく、ハマリ系のゲームですがちょっと量的に少ないですね。とは言うもののPSNでは一番の注目株です。
Console Monster : 89点
Q-Gamesのもう一つの主要なタイトルです。コンセプトは昔ながらものとは言いつつ、中身は反対に我々を楽しませるべく新しいものを創造してくれています。
9Lives : 89点
Q-Gamesが放つ4本目のクラシカルなゲーム、それがPixelJunk Shooterです。敵を倒しつつ助けを求める炭坑夫を救助するシューティングゲームでありながら水や溶岩、氷をいかに利用するかがポイントのパズルゲームともなっており、非常にスムースな進行でストレスなくゲームにチャレンジできます。このゲームのオススメ度はかなり高いです。PixelJunk Shooter: Encoreも楽しみですね。
Cheat Code Central : 88点
PixelJunk Shooterは個人的にはQ-Gamesのゲームの中では好みの部類ではありません(Edenはなかなかのものですよ)が、このゲームはアーケードゲームなどを含めた今年2009年にリリースされたゲームの中では好きなゲームの一つです。
GameTrailers : 87点
PixelJunk Shooterは上質かつ思わず夢中になるような記憶に残るゲームで、10ドル以上の価値があります。一度プレイすれば自然科学への興味も増すことでしょう。
Gamer 2.0 : 87点
PixelJunk ShooterはPixelJunkシリーズの一つで、素晴らしいゲームです。ただ今までのシリーズと比べるとちょっと早く終わってしまうので、もうちょっとプレイしたい感じがします。
Game Informer : 85点
独自のコンセプトに基づき、無駄をそぎ落とした様が印象的です。ゲームは非常にシンプルで楽しさが詰まっています。
Destructoid : 85点
PixelJunk Shooterは絶対的に楽しさ満点です(お世辞ではありません)。魅力とオリジナリティにあふれ、ソニーのダウンロード販売リストの中にあって際立つ魅力を感じます。
XGN : 80点
PixelJunk ShooterはPixelJunkシリーズ第4弾です。プレイしていて楽しいのですが、ゲーム自体がすぐ終わってしまうことがおしいです。Q-Gamesの開発の方はPlayStation Networkのタイトルとして非常に目の付けどころがいいですね。
TheSixthAxis : 80点
PixelJunkシリーズにどっぷりなファンの方にはこのShooterはうれしいでしょう。もちろんゲーム自体楽しいのですが、思ったより早く終わってしまう印象でもう一度はじめからプレイしようとするのは純粋なファンだけでしょう。
Eurogamer : 80点
PixelJunk Shooterは構成がしっかりしておりオリジナリティあふれる、素晴らしい技術を惜しみなく投入し良く練られたゲームです。ただゲーム自体のボリュームが多くないのでずっと遊べるということにはならないようですが、クレジットや画面表示から察するに過去のPixelJunkの状況からみてダウンロードコンテンツが存在する可能性が高そうです。ただしプレイしていた間は予想以上の楽しさでした。
GameSpy : 80点
PixelJunk Shooterをプレイしての不満点は — 3時間ほどプレイしたのですが – 素晴らしいパズルゲームではありますがその時点でもう半分終わってしまっていたようです。
Giant Bomb : 80点
似たようなことが続くチュートリアルモードみたいな感じがするにもかかわらず、PixelJunk Shooterは他のダウンロードゲームにはない独特の仕組みで素晴らしい画面構成と音楽を持っています。
GameSpot : 80点
陽気な感じでユニークなパズル要素が地底探検の雰囲気を盛り上げてくれます。
量が少ないのが欠点のようです。
翻訳しているとある単語が頻繁に出てくることに気付きます。
それは、”addictive“という単語です。
新英和中辞典によると意味は
1 〈薬剤など〉常習癖がつきやすい,習慣性の
2 〈ゲームなど〉夢中にさせる,病みつきになる
とあります。要は「やめられない止まらない」かっぱえびせん系だということです。
総合点の86点というのはゲーム全体の中でもトップクラスといえるでしょう。癖になるという表現になるのはいいゲームの証拠です。アイディアの勝利とも言えます。
そんなゲームを提案する会社、キュー・ゲームスとはどんな会社なのでしょうか。ちょっと調べてみました。
4. 小規模ソフトハウスとダウンロード専売の相性
キュー・ゲームスは京都に本社を置く小規模なソフトメーカーです。調べてみると京都コンピューター学院という専門学校の機関誌「アキューム」にキュー・ゲームスの面白い紹介記事を見つけました。
代表取締役Dylan Cuthber氏はわずか16歳で頭角を現した天才プログラマーで、任天堂、ソニーを渡り歩いた後にキュー・ゲームスを設立した、正にやりたいことを実現するために会社を作った方のようです。一番驚いたのがPS3起動時に出てくる波を開発したのが実はキュー・ゲームスという事実。
その代表取締役Dylan Cuthbertが案内人となってQ-Games社内を紹介する北米Playstationブログの企画ビデオもありましたので紹介します。
Viddler: See how PixelJunk is made, go inside Q-Games
Dylan Cuthbert氏は、オフィスで働くスタッフの数を35名と紹介しています。法人としての規模でいえば小企業の部類です。少数精鋭ならではの小回りの良さがアイディア溢れるゲーム開発に繋がっている印象です。
同じPS3でも60億も開発費をかけた某ゲーム(ゲーム最新情報 2009年11月5日のニュース参照)とは大違いです。
ここで疑問が出てきました。
ダウンロード販売だけに特化しているのは身の丈にあったバランスのとれたコストで開発を行うための手段なのではないか?
広告宣伝費についてはテレビをはじめとするメディアの力は強大で、ドラクエやFFの様にミリオンセラー以上を狙うならば莫大な広告出稿は欠かせません。ただそれはコスト増につながりますので、それに見合うだけの販売数が見込めないとなれば価格に転嫁されてしまいます。
また、既存のゲーム販売網での販売の場合ディスクのプレス費用や流通業者への中間マージンも価格に転嫁しておかなければならず、結果としてゲーム価格の高額化イコールユーザーの不利益となります。
ブログメディアの活用も広告費ゼロの宣伝手段ですので、結果として安価な価格での販売に繋がっていることでしょう。
少人数で少数精鋭ソフト開発と聞くとプラス面ばかりなような気がしますが実は非常にリスキーなことで、ひとつの失敗作が会社の存続に直結します。
毎回常に成功するための手段を選択しつつ社の命運を賭けて開発に取り組まざるを得ない環境の中で今回のPixelJunkシューターのような楽しいゲームを送り出せるキュー・ゲームスの資質には感心します。社内の雰囲気を見ても自然と真剣に取り組める環境になっているようです。それもキュー・ゲームスの良さなのでしょう。
ダウンロード専売ゲームとして当初から開発に挑めばキュー・ゲームスのように大会社と肩を並べて、あるいは更に上に立つことも不可能ではないようです。今後ゲーム販売はネット配信へ比重がシフトしていくのは間違いないので、あくまでも可能性としてですが、良識のある小さなゲームメーカーが数多く生まれてくる土壌が芽生えつつある気がしてなりません。
まだ現時点ではダウンロード購入にネガティブなイメージがついて回っていますが、考え方によってはそれこそがユーザーの利益なのかもしれません。少し楽しみになってきました。