PlayStationのゲームやブルーレイ、CDを含むソニーの光学メデイアを製造するDADCのCEO Dietmar Tanzer氏によると、PlayStation向けの販売が全体の50%を占め、そのうちの20%が新規のオーダーとなっています。Dietmar Tanzer氏はソニーのコンソールのディスクゲームの生産を終了の発表受けて「2028年にはPlayStation向けの量がおよそ10%になる見込みだ」と語りました。
製造量の減少が見込まれる中、DADCでは今週水曜日にディスク製造部門の従業員に対し人事異動を断行しました。現時点でのリストラの計画はないようです。
そして異動の対象となった従業員に研修を行い、来年にも光学マイクロレンズの大量生産を開始する計画です。すでに配置転換した従業員が生産するディスク以外の生産設備に何千万ユーロの投資をしているため、ソニーは完全に物理メディアであるディスク生産には見切りを付けたことになります。
ディスクゲームの生産終了を公表してから何千万ユーロもの設備投資をして人事異動を行うことは以前から計画していないと不可能です。ソニーとしては以前からディスク生産をやめる計画を進めており、DADCでも歩調を合わせていたのは間違いありません。
一度ディスクの製造現場を解体してしまうと復活させるのは事実上困難です。現時点で既に製造体制を縮小していることになるため、ソニーがディスクゲームの生産を終了する2028年1月より前からディスクゲームの供給量が減少する可能性が高くなりました。
発売済みのタイトルや、2028年1月より前にディスク版として発売されるタイトルには影響ないとソニーは発表していますが、ディスク自体の生産量が減少するため市場の要求に答えるだけの生産キャパシティが不足する懸念は拭えません。
一方でInsider Gamingによると、ソニーはパブリッシャーやパートナーに対して既存のPlayStationディスクゲームについては2028年以降も再注文は可能であるとのメッセージを送ったようです。ソニーとしては影響を最小限に抑えようとしていることになりますが、実際生産キャパシティを縮小しているので再注文は可能なものの納期はこれまでと同じとはならないでしょう。
ディスクゲームの提供を終了すると発表して以降、XなどのSNSでは批判の声が多いようです。私はデジタル完全移行については時期尚早とは考えていません。PCゲームやモバイルゲーム市場は完全にデジタルに移行しているので環境としてはデジタルに移行しても支障はないはずです。
それでも批判が渦巻くのは、ソニーが過去に旧型コンソール向けのストアのサービスを終了してユーザーが購入したコンテンツの再入手を不可能にしてきたからです。旧型コンソールのコンテンツをいつでも入手できる環境を提供し続けてきていればここまで批判されなかったでしょう。
コンソールもデジタルに対応していますが、PCやモバイル向けゲームとコンソールには大きな違いがあります。PCやモバイル向けは主にOSのアップデートに開発者が対応すればなくなることはありませんし、かつユーザーが最新OSにアップデートないしは最新デバイスへの買い替えを行えば購入済みコンテンツは引き続き入手してプレイが可能です。
ゲームコンソールは結局のところ後方互換性を重視してこなかった過去の歴史が今になって重大なリスクとして表面化してきたに過ぎません。後方互換性があれば今でも歴代PlayStationのコンテンツはPS5でも、そしてPS6でもプレイ可能になるためストアからなくなり再入手できなくなることは(パブリッシャー側がそれを選択しない限り)ないでしょう。
ソニーの場合PS4以降は後方互換性が確保できているためPS4以降のコンソールゲームは今後も提供されるはずです。問題はPS3以前のコンテンツですが、コミュニティが開発しているエミュレータの現状を見る限りエミュレータを利用した事実上の後方互換性確保は可能です。
ソニーが後方互換性確保を目的としたエミュレータを公式に用意しない以上、コミュニティ開発のエミュレータの需要は大きくなりますが、ゲーム自体DRMで保護されてバックアップが簡単にはできないのでそこをなんとかしようとユーザーはJailbreakに走るわけです。
ソニーがディスクでのコンテンツ提供をやめてしまうと自分が購入したコンテンツを未来永劫いつでも利用できるよう所有したいと考えるユーザーが今後コンソールハッキングに走るという図式が見えてきます。今はマニアしか手を出さないニッチなコンソールハッキングがメジャー化するかもしれません。