サイトアイコン 大人のためのゲーム講座

任天堂 暗号鍵抜き出しツールでGitHubにDMCAテイクダウンリクエスト

GoNintendoで、任天堂がLockpickをターゲットにGitHubに対してDMCAテイクダウンによる削除要請を行ったと伝えていました。


これはプログラマーであるItsSimonTime氏がツイートしたことから明らかになったもので、任天堂がSwitch向けHomebrewを著作権違反を盾に排除しようとしたというものです。

任天堂はGitHubに対して複数のDMCAテイクダウンリクエストを発行しました。自分が持っているSwitchのキーをダンプするためのツールLockpickがそれに含まれています。バカバカしい話で、海賊行為をする連中が自分のコンソールのキーを提供しようなんて思うはずがないのに!

削除要求の対象になったのは

  • Nintendo Switchの暗号鍵を抜き出すことができるSwitch向けペイロードLockpick_RCM
  • Nintendo Switchのゲームタイトルキーのダンプや暗号化キーをプロセスメモリから入手するLockpick
  • です。

    暗号化キーがあればコンテンツの復号化が可能です。Switchハックの根底部分に関わるところを任天堂が狙ってきたことになります。

    DMCA(Digital Millennium Copyright Act)はアメリカのデジタル・ミレニアム著作権法のことで、デジタルコンテンツの著作権に関する法律です。デジタルコンテンツを保護するための権利や、違反に対する罰則が規定されています。

    アメリカの法律ですのでアメリカ以外の国では直接適用されませんが、GitHubはアメリカのカリフォルニア州のサンフランシスコに本社をおいていますのでDMCAが適用されます。

    DMCAテイクダウンは著作権を侵害されている側がそれを提供しているサービス側に対して通知をする行為で、DMCAテイクダウン通知を受け取ったサービス提供側は実際に著作権を侵害しているか否かの事実に関係なくコンテンツ削除義務があり、従えばそれ以降責任は負わなくていいとされています。

    今回の場合は、わかりやすく言うとGitHubに対し一般ユーザーがアップロードしたコンテンツについて「著作権を侵害しているから消せ!」と著作権所有者に言われたので、面倒なことに巻き込まれたいわけはないGitHub側は大人しくそのコンテンツを無条件で削除するという流れになるはずです。

    GitHubはコンテンツを提供する側ではなくただの場所を提供しているだけのプラットフォームです。面倒なものは消してくれれば持ち主はともかく預かっているだけのあなたにはこれ以上責任を問うようなことしませんよ、と言われたら間違いなく従うでしょう。そのコンテンツを再び配布するには裁判で闘って著作権を侵害していない確定判決を勝ち取らないといけません。見知らぬ一般ユーザーのコンテンツに対して著作権を侵害していないことをGitHubがわざわざ司法の場で証明しなければいけない必然性は全くありません。

    DMCAは著作権違反を言ったもん勝ちみたいな法律なので、当然愉快犯だけでなく嫌がらせや自分に都合が悪い情報を消したいためにDMCAテイクダウンを悪用する例もあるようです。

    ここで疑問がわきます。

    自分のSwitchから暗号化キーをダンプするHomebrew自体が直接任天堂の著作権を侵害?

    Lockpick_RCMやLockpickのソースコード自体に任天堂の著作物が含まれているなら話は別ですが、それはないでしょう。Lockpick_RCMやLockpickは海賊版ゲーム起動に絶対つながらない無関係だと言い切るだけの材料はないので(極論すれば使う側のモラルの問題)、なんだかんだ難癖つけてこじつければ著作権侵害ツールが出来上がります。自分に都合が悪い情報を消したいためにDMCAテイクダウンを活用(悪用と書くと語弊があるので活用、と表現しておきます)した例ですね。

    いずれにせよ、DMCAテイクダウンは「言ったもん勝ち」なので、GitHubからLockpick_RCMLockpickが消されるのは時間の問題です。今はまだ配布されているようです。

    モバイルバージョンを終了