Android向けのPS2エミュレータAetherSX2開発者のTahlreth氏が、AetherSX2の開発を無期限停止するが、当面はダウンロードして使用することは可能だとの声明を発表していました。
PS2エミュレータPCSX2の開発チームともやり取りをして開発が進められていたAetherSX2は、行ってみれば準公式の扱いだったとも言えますが、開発者のTahlreth氏の声明によると、一部のユーザーから誹謗中傷を受け続けて耐えきれなくなったようです。
誹謗中傷は「なりすまし」「苦情」「要求」、そしてトドメは「殺害予告」。
AetherSX2の開発は趣味(当然無償)で行っていたTahlreth氏でしたが、ネットでの誹謗中傷と殺害予告で苦痛を強いられ、最後には「もう楽しくもないことを趣味で続けていっても意味がない」となり開発継続を終了するという選択をしたようです。
現時点での最新版はまだウェブサイトに残してあるのでhttps://www.aethersx2.com/archive/からダウンロードすることは可能です。Google Playでも入手できるので当面AetherSX2がなくなることはないはずですが、ドメインは有償なのでいつかは廃止されると思います。
この話を知ってすぐ頭に浮かんだのがSNSで誹謗中傷や殺害予告を受けたとして警察に被害届を出したことを公表した中日・福敬登投手の事件です。
福投手はこのようにコメントしています。
「度を超してはいけない。(投稿者の)言葉のハードルが少し低すぎるんじゃないかと思うんです。ましてや殺すぞ、死ね、が当たり前になっているんじゃないかと。それはもう、耐えられないです」
無償で開発をしていたTahlreth氏とプロ野球選手の福投手とは立場は違いますが、嫌がらせを受けた側の立場としては同じ気持ちだと思います。
AetherSX2には期待していただけに、開発中止は非常に残念です。シーンでも同じ受け取り方をする人々が多ければ誰かが開発を引き継いでくれるかもしれません。
SFCエミュhiganの作者さんもこのようにして執拗な誹謗中傷にさらされ、鬱になり、遂には自殺された。
クリエイターの才能やコンテンツを潰すのはいつも暴力的な消費者の側だ。
SNSは人間の精神衛生、しまいには社会の秩序をも破壊しかねない危険なツール。
無責任な個人に自由という力をもたせすぎると自然こうなってしまう。
精神的幼稚、思考力弱者にとってSNSはセーフティーの外れた核兵器をもてあそぶ赤ん坊に等しい。
世の中には、死ぬまで言葉の毒を吐き続け周囲を威圧するジャミング人間、周りの生気を吸い取って糧にするヴァンパイア人間、無駄に行動力だけはある謎の使命感に燃えたヒーローもどき等といった迷惑種族が実在する。
社会の爪弾き者としてリアル世界では隅に隠れている、一生出会す機会を得たくないこうしたサイコパス連中がネット世界では顕現され、水を得た魚のように周遊している。
世の中を動かすのは、道理でも論理的正しさでも多数派の意見でも無く、ノイジーマイノリティ、つまり声がデカいやつの詭弁が押し通ってしまう。
SNSの普及の弊害として、つねに砕けた会話口調でコミュニケーションが行われるため、日本人も含め、全体的な傾向として語彙力や文章力が低下し「ひとこと」の重みが軽くなっている。シネとかアホとかクソとか、そういう単語でしか感情表現ができなくなっている。相手に投げつける言葉のダメージ量をまるでわかっていない。