ゲームのDRMクラッキングチームCODEX シーンから引退発表

GBATempで、2014年に結成されて以降ソフトウェアのDRM(複製を制限するデジタルコンテンツの著作権管理技術)をクラックして配布を続けてきた(と書くと聞こえはいいが要するにゲームのコピープロテクトをクラックして違法に配布を続けてきた)CODEXというグループが8年間の活動を経て引退することを発表したことを伝えていました。

codex

CODEXは主にSteamのライセンスをクラックして違法コピーを配布するグループとして知られ、強固な著作権保護のためのプロテクトも短期間で突破することで知られています。
CODEXの引退発表はDRMクラックした『The Sims 4 My Wedding Stories』の違法コピーの中にあったNFOファイルに記してあったそうです。これまでに約7300タイトルのDRMをクラック(7300タイトルを違法にコピーしてインターネット上で公開)していました。

引退の理由について、よくある名誉の奪い合いの結果による内部抗争というわけではなく、ましてやメンバーが逮捕されたというわけでもなく純粋に「目標を達成したから」と述べています。

調べたところ、同じ内容をTorrentFreakが伝えていました。その記事によると、CODEXはどんな強固なDRMでもクラックを続けてきたことからゲームパブリッシャーには脅威を与え、同様にDRMクラックを営む同業者からはリスペクトされていたようです。

CODEXの活動開始当初はPCゲームをクラッキングするRELOADEDというライバルチームが存在し、時には競争し時には情報共有をしながら共に活動してきましたが、その2チームによる「クラック競争時代」は長くは続かずRELOADEDは徐々に崩壊し活動を縮小していき、看板だけを引き継いだチームやその後に出てきた新興チームなど多少の動きはあったもののCODEXだけが黙々とDRMクラックを続ける形が続き「シーンに面白みが欠けてしまった」とCODEXは述べています。

CODEXの引退発表はTeam Xecuter裁判でGary Bowser(GaryOPA)被告に懲役40ヶ月の実刑判決が下され、シーンに法的な警告が発せられたことと関連がありそうな気がしますが、CODEXはそのことには触れていません。実際には中の人しか引退の本当の理由は分かりませんが、タイミング的にTeam Xecuter裁判とは無関係とは言い切れないでしょう。

ゲームをクラックして違法に配布するだけのCODEXはTeam Xecuterとは異なり、収入がありません。広告収入くらいはあったのかもしれませんが、Team Xecuterのようにハードウェアやソフトウェアライセンスといった莫大な利益を得るマネタイズシステムは持ち合わせていなかったのでしょう。そんなにおいしい仕組みがあるなら同業者であふれかえっていたはずですが、実際そうはなっていないのがその証拠と言えます。「クラックに成功した」という名誉が一番の報酬だったのかもしれません。

Team Xecuter裁判で指摘された著作権侵害に伴う違法行為には、実際Team Xecuter製品と並びDRMクラックした違法コピーの2つが並列して存在します。違法コピーが存在しなければTeam Xecuter製品はHomebrew起動愛好家のための製品という平和的な評価になりますが、違法コピー、つまりCODEXのようなグループ(実際Switchの違法コピー配布に関わっていないとしても)がばらまくDRMクラックした違法コピーの存在がTeam Xecuterを犯罪者として法的に裁くことに繫がっているのです。

そう考えると、Team Xecuterに莫大な損害賠償と有罪判決が下された今、CODEXの活動継続はリスク以外の何物でもありません。CODEXは「目標を達成したから」引退すると言っていますが、実際にはアメリカの検察当局のもくろみ通り「犯罪行為には必ず結果が伴うのだというメッセージ」の効果が早速出たのだと思われます。

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