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【完全私的考察】日本人はテレビの影響を受けやすいからXboxを買わないのではないか

先日公開した「日本の割り当て少なすぎ PlayStation 5は日本でそもそも売ってない」の記事を書きながら、ふと気になったことがあります。

同時期に発売された「Xbox Series X|S」はどうなんだろう?

このブログでも発売後はあまりXbox Series X|Sをニュースとして扱ってこなかったこともあり(これは私が意図的にXbox Series X|Sを排除したのではなく、海外のニュースであまり話題になっていなかったから取り上げなかっただけです)、気になったので調べてみました。実は結構(海外では)人気なのです。Nintendo Switchよりも。

海外の販売データは、VGChartzを参照しました。

VGChartzの集計はPlaystaion 5発売後から11週目(1月25日~2021年1月31日)までの期間のものです。

全世界市場におけるPlayStation 5/ Xbox Series X|S / Switchの総販売台数

PlayStation 5: 4,833,120
Switch: 3,328,870
Xbox Series X|S: 3,276,211

世界的にはPlayStaion 5が最も売れています。Xbox Series X|SとSwitchはほぼ同じ程度売れています。発売時期が古いSwitchは大健闘していると言えますが、PlayStation 5がXbox Series X|SとSwitchを大きく引き離しています。

北米市場におけるPlayStation 5/ Xbox Series X|S / Switchの販売台数

PlayStation 5: 2,134,243
Xbox Series X|S: 1,677,194
Switch: 1,273,174

北米でも人気はPlayStation 5です。PlayStation 5発売後の11週間でXbox Series X|S / Switchが50万台ずつ差が開いたような状態です。Xbox Series X|SはPlayStation 5に及ばず、といったところでしょうか。Switchは発売から時間が経っていることもあり少し劣勢感がありますが、それでも健闘していると見ることもできます。

欧州市場におけるPlayStation 5/ Xbox Series X|S / Switchの販売台数

欧州のみ数字は10週までのデータ(PS5の11週目がない)だそうです。
PlayStation 5: 1,583,659
Xbox Series X|S: 938,936
Switch: 903,165

全世界累計販売台数に近い販売比率になっています。欧州市場でも人気はPlayStation 5で、Xbox Series X|SとSwitchはほぼイーブンの戦いをしています。Switchは大健闘していると言えるでしょう。

日本市場におけるPlayStation 5/ Xbox Series X|S / Switchの販売台数

Switch: 847,334
PlayStation 5: 304,020
Xbox Series X|S: 33,168

日本市場だけ他の世界の市場と違います。
まず、販売台数の桁が違います。市場が小さいんです。

Switchだけ圧倒的に売れているのは間違いないですが、販売台数を見ると北米・欧州市場のSwitchの販売台数に全く及んでいません。市場規模が小さいので数字の上ではソニーがPlayStation 5を日本市場に数を割り当てないのも納得ですが、世界市場での販売傾向と日本ユーザーの購入意欲から推測すると、割り当てが多ければPlayStation 5は日本市場でもっと売れているはずです。

Switchだけが売れているという傾向も異なります。そして最も違うのは、Xbox Series X|Sが全然売れていないことです。圧倒的と表現するに値するほど売れていません。

歴代Xboxと同じといえばその通りですが、今回マイクロソフトは日本市場でもXbox Series X|Sを他の市場と同時に発売するなど非常に力を入れていたにもかかわらず、成果が全く出ていません。現世代機に関しては、私もここまで差が開くとは想像していませんでした。

実は今回のXbox Series X|Sは個人的には結構売れるのではないかと期待していました。マイクロソフトが日本市場での展開に本気を出してきたからです。
コントローラーにこそ大きな違いはありますがPlayStaion 5に大きく劣るという印象もなく、さらに決め手は廉価版のXbox Series Sの存在で、為替レート換算よりも安価な価格設定でブレイクする可能性は大いにありました。

それが、蓋を開けたらXbox Series X|Sは大失策です。PlayStation 5にキラータイトル(日本人が大好きなドラクエやFFですらPS5にはありません)どころかまともなタイトルが皆無であるにもかかわらず、です。

あまりに酷いので、なぜXbox Series X|Sがここまで日本で売れないのか考察してみました。ドラクエやFFはもう関係ないので。

マイクロソフトのイメージが良くない?

最近耳にする言葉にGAFAというのがあります。

GAFAとは、米国の主要IT企業であるグーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)のことで、これら4社は「消費者に革命を起こした企業」として扱われています。米国の主要IT企業というと、もう1社巨大企業マイクロソフトがいますが、Big Tech(大手テクノロジー企業)の括りの時にはマイクロソフトも含まれるものの、日本のメディアに出てくる時はマイクロソフトが含まれないGAFAが圧倒的に多い印象です。マイクロソフトが消費者革命を起こしたかと問われれば、Windows95でPCに革命を起こした印象こそあるもののそれは20世紀の話であり、最近はそういう印象を持つ企業とは言えないのは確かです。

ちなみにアメリカなどではGAFAという言葉はほとんど使われていないそうです。日本メディア独自の用語と言っても過言ではありません。

つまり、日本のメディアにおいては、マイクロソフトは主要IT企業だという認識が薄いことを証明していると言えます。このメディアの情報を日々目にしている我々日本人にとっても、マイクロソフトを無視したGAFAという言葉への違和感を感じることはあまりないのではないでしょうか。記事を書く方も読む方も同じ認識なのです。

ここから導き出されるのは、日本ではマイクロソフトにブランドイメージを持っている人が決して多くないのではないかということです。

マイクロソフト製品、というブランド力は?

PCを購入する際、Macを買う人はAppleにブランドイメージを持っているからこそ(昔からマカーとかApple信者という言葉もあります)購入しています。一方でWindows PCを購入する人はマイクロソフトのブランドイメージに惹かれて購入する人はそんなに多くないでしょう。

Windows PCはどちらかというと、会社で、あるいは学校で使っているから、売り場に展示してあるのはWindowsだから、詳しい人に聞くと普通にWindowsを勧められるから、みんなが使っているから、シェアが1番だから、という、ある意味「無味無臭でデメリットがないから」という消極的選択で購入していることが多いのではないでしょうか。ブランドイメージで購入する場合でも、マイクロソフトではなくDELLとかHPなどのメーカー名で選ぶだけでしょう。

マイクロソフトというと、WindowsやOfficeしか身近な製品が思い当たりませんし、しかもそれはあくまでも単なる道具に過ぎないOSやアプリケーションでしかありません。実はみんな使っているにも関わらず、マイクロソフトがブランドとして確立されているとはとても言えないのではないでしょうか。ここに、日本でのマイクロソフトのブランドイメージの薄さが表れています。

ソニーや任天堂にはブランドイメージがあります。そんな中ブランドイメージが薄いマイクロソフトのゲーム機をあえて購入する意欲が湧かない、これが日本でXbox Series X|Sが売れない理由のひとつだと思われます。

マイクロソフトのブランディングの失敗の原因

今の日本の社会では、ほとんど毎日何らかの形でPCを使っています。OSは当たり前のようにWindowsであることが多いでしょう。
メールでデータをやりとりする際も、文書はワード、表はエクセル、プレゼン資料はパワーポイントなのは社会人的にはほぼ常識化しています。これらOffice製品もマイクロソフトです。

その割には、PCに詳しくない人たちからは「マイクロソフト」という言葉をほとんど聞いたことがありません。下手をすると、「マイクロソフトって知ってる?」と聞いて「え?聞いたことあるけど何だっけ?」と答える人もいるかもしれません。

そんな人たちでも、ソニーとか任天堂は間違いなく知っているでしょう。その差は一体何なのか、明らかにソニーや任天堂と、マイクロソフトとの間に違いがあるとすれば、それはテレビCMではないかと思います。

マイクロソフトのCMって…?

ソニーや任天堂のCMと聞くと、皆さんそれぞれいろんなCMを思い浮かべることでしょう。最近良く目にするCMとしてゲーム機とは関係のないXperia(スマートフォン)やUSJ(スーパー・ニンテンドー・ワールド)を思い浮かべる人も多いでしょう。そう、ソニーや任天堂は昔からCMをテレビに数多く出稿してきているのです。

ではマイクロソフトのCMは?Surface(PC)のCMは最近見た気もしますが、数は多くありません。そしてそれ以外思い出しても頭に浮かばないのです。『インテル、入ってる』のCMは一時期よく見ましたが、あれはWindows PCではありますがマイクロソフトのCMではありませんし、マイクロソフトの言葉すら出てきていなかったと思います。

あくまでも私見ですが、日本人にとってテレビの影響力というのは大きくて、特にCMによるイメージアップの影響は絶大です。
最近だと中国のスマートフォンメーカーのOPPOを思い浮かべてみて下さい。一部のスマホフリークの間では確かに中国のOPPOというメーカーは以前から知られていましたが、一般的な認知度は以前は皆無だったでしょう。そんな状態でOPPOのスマホを購入しようというユーザーは決して多くはありません。

ところが、指原莉乃さんや木梨憲武さんが出演するOPPOのCMで、OPPOというブランドは世間に大きく認知されました。今はOPPOのスマホを購入する際に「怪しい中華製品じゃないの?」と考える方はいないのではないでしょうか。

OPPOはごく短期間に集中的にブランド認知度を高めるためのCMを数多く出稿しました。これだけで日本でのOPPOのブランドイメージは大きく向上しました。

このテレビCMによるブランドイメージがマイクロソフトにはないのです。聞いたことない怪しい中華製品を買わないのと同様に、あまり頭の中にブランドイメージがないマイクロソフトという会社のゲーム機は買う気にならない。これが歴代含めたXboxの販売台数の少なさに繫がっている可能性は否定できません。

テレビはオワコンだ、今はオンデマンドのストリーミング配信の時代だと言われて久しいです。それは明らかに事実で、テレビの視聴率の低下がそれを物語っています。

その一方で、テレビを見ていてドラマのいいところでCMに入っても「ウザい」と思うことは実はそんなに多くありませんが、YouTubeを見ていて途中でCMが入ると「ウザい」と思って5秒間だけ我慢して見てCMスキップをクリックしたりしていませんか?

これは、日本のテレビが文化と化していて、そこにCMがあるのが当たり前だから(NHK除く)です。そのCMですら日常会話の話題になったりもしますが、YouYubeに出てくるCMが話題になることはほとんどありません。

つまり、テレビCMの影響力は我々日本人にとっては非常に大きいのです。その絶大な影響力を行使し続けてきたソニーと任天堂が、それほど行使してこなかったマイクロソフトにブランドイメージで大きく差を付けたのはある意味当然の結果なのです。

右にならえの日本人気質と、CMの影響力によるブランドイメージの差が日本でのマイクロソフトのブランドイメージ向上の障壁となり、結果として製品としては非常に良いはずのXbox Series X|Sが日本でPlayStation 5とSwitchに完敗するのではないでしょうか。テレビの影響を受けやすい日本人ならではの気質がXbox Series X|Sの購入の障壁になっていると言えます。

タイトルにも書きましたが、この記事はよく見るテレビ通販番組やCMで小さい文字で必ず書かれている
「※あくまで個人の見解です。」
ですのでご注意下さい。とネタにするほどテレビの影響はデカいです。

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