ゲーム機修理に著作権の壁 今後改善される可能性も

Wiredで、ゲーム機が著作権法によりbrickしている現状があるが、今後は改善される可能性があることを伝えていました。

PS5 online repair

いきなり意味が分かりにくいニュアンスにしてしまいましたが、ゲーム機の修理が修理行為の一部は「著作物へのアクセスを制御する技術的手段の回避」にあたるため修理が著作権法違反に当たるとされているため、修理できずに文鎮化(brick)しているという現状が変わるかもしれないという内容です。ゲーム機が著作権法によりbrickする、というのは法律の存在が理由で修理すれば済むものを修理できずにbrickと同じ状態として扱われゴミになってしまっているということです、

ところがこれには救済策が設けられています。3年ごとに特定の製品について「デジタルロックの回避を許可する」という制度があり、その時期がまもなく訪れるためiFixitがアメリカ合衆国著作権局に対してゲーム機の修理の合法化を申請する予定をしているようです。

今回はアメリカのDigital Millennium Copyright Act(デジタルミレニアム著作権法)の話になります。日本の話ではありません。

ゲーム機が故障した場合、部品交換すれば簡単に直るようなものであっても、その部品とマザーボードとがペアリングされ、それを解除するにはプロテクトされているシステム側にアクセス、つまり著作権法的には違法と規定されている行為が必要になるために、ユーザーはおろか修理業者でもゲーム機の修理行為自体が著作権法によって違法行為に該当します。

例えばゲーム機の光学ドライブが故障した場合で考えます。
故障した場合正常に動作するドライブと交換すれば修理できるのかというとそうではなく、別のドライブを接続したところで認識しないので結局使えない、やむなく修理しない選択をするのはそもそも正常に動作しないので意味がないといったことが起こり得ます。正常に動作する中古部品(純正)に交換するのが最も安価で確実な修理方法ですが、それが物理的にではなく法律的にできないのです。

メーカー側が直接修理を行うサービス(ソニーだとオンライン修理受付サービス、マイクロソフトだとXbox デバイスの修理、任天堂だとオンライン修理受付など)はありますが、費用面では決して安価とは言えません。正常に動作する中古に買い換えるのとあまり差がないこともあるでしょうし、場合によっては新品本体に買い換えた方が安いこともあるでしょう。
最近が店舗で購入したゲーム機であっても購入時に「修理は直接メーカーにお願いします」と言われるため、基本的にゲーム機を修理する際はこういった修理費が安価とは言えないオンライン修理サイトから申し込むことになります。

できれば中古部品で安く直して欲しい、近所の店舗で修理したい、修理に出す際は手渡しがいいというニーズは少なからずあると思いますが、修理する業者にとっては修理自体アクセスできない領域へのアクセスを要求する場合があり、例えばアメリカのReplay’dというリペアショップの場合、光学ドライブ交換はマザーボードと光学ドライブをペアリングするためのソフトウェアにアクセスすることで修理を行っているそうです。ただ、これが法的にはデジタルロックされた状態を解除していることに当たるため法律を厳密に適用されると違法行為と判断されてしまいます。

もちろん、ドライブ交換だけなら比較的簡単な作業であるためユーザーが自分で実施したいという場合もあるでしょう。iFixItのPlayStation4 光学ドライブの交換ページを見ると、自分で交換できそうな説明になっていますが、最後にこう書いてあります。

光学ドライブアセンブリはマザーボードと”対”である事に注意してください。光学ドライブを交換する必要がある場合は、オリジナルの光学ドライブアセンブリ上のドーターボードを取り出して、PS4にインストールする交換用のドライブ上に移植します。

光学ドライブをポン付けでは”対”にならないので使えず、ユニットのドーターボード移植が必要になります。まだそれだけで使えるならマシという考え方もできますが、修理業者によってはその”対”になっている部分を書き換えて修理する場合もあるようです。

iFixitの申請が認められれば、ゲーム機の修理に限り「著作物へのアクセスを制御する技術的手段の回避」が許可されることにあります。最終的に認められるかどうかは分かりませんが、もし一般ユーザーであっても修理が認められるのであればゲーム機をかなり安価に修理できるようになるかもしれません。ただ、メーカーサイドからすると修理を合法化することは「パンドラの箱を開けることになる」と主張しています。確かにその通りで、これはちょっと難しい問題だなと感じます。

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