Gamesindustryで、SIEの社長兼CEOであるJim Ryan氏がPlayStation 5について今年の年末に全世界で発売するが、価格については価値に見合った価格とし、必ずしも(ライバルより)低価格である必要はないと考えていると語ったことを伝えていました。
全世界の経済に影響を与えているコロナ禍ですが、その影響でPlayStationの発売が予定通り行かないのではないかとの憶測が流れています。
Jim Ryan氏の発言はこの憶測を否定するものですが、その裏にはこのコロナ禍を逆にビジネスチャンスだと捉えているSIEの考え方があるようです。
PlayStation 4はコロナ禍で需要が急増、小売店がロックダウンの影響で本体の販売台数が落ちるかと思いきや需要急増で通信販売により好調に推移、ゲームソフトは逆にデジタル配信への移行が進み、PlayStation Plusの契約数が大幅に増加と、必ずしもコロナ渦がマイナスに働いていないどころかプラスになる要因となっている事実があります。
これにはSIEも驚いているようで、従業員はその需要に応えるべく在宅勤務でPlauyStation Networkの機能維持に努め、次期主力時船スとなるPlayStation 5のソフトウェアエンジニアは在宅勤務でハードワークをこなし、実際に大変なのはハードウェア組み立てに関わるスタッフだけのようです。この大変なスタッフの実際の仕事の中身は分かりませんが
“they’re doing a great job(みんな相当頑張ってます)”
と、うまく行っていることを示唆しています。サードパーティ含めディベロッパは在宅勤務でもオフィス勤務の8割から9割程度の効率で仕事ができているようで、コロナ禍はゲームタイトル開発にも大きな影響は与えていないようです。
PlayStation 4の世界的な累計販売台数が1億台を超えており、現時点でも大きなビジネスとなっている中で、SIEは魅力あるPlayStation 5の提供がさらなるビジネスチャンスに繫がると考えています。
もともとSIEはPlayStation 5発売後の数年間はPS4コミュニティに対してサービスを提供する責任があると考えていました。このコロナ禍でPS4のサービス提供がビジネスとして成功するという見込みを再確認できたようです。次世代機への移行期間中はハードウェアの逆ザヤで赤字を計上してきたSIEの過去とは異なる状況になることに確信を得ていることになります。
それが故に、ビジネスチャンスとなっている今こそ是が非でも予定通り年末商戦期にPlayStation 5を発売するというのが今のSIEの方針です。このビジネスチャンスはコロナ禍に陥っている全世界同じなので、PlayStaion 5も何が何でも全世界向けに発売するようです。
かといって、決して安価とは言えないどころか高価格帯に分類されるであろうPlayStation 5が市場に受け入れられるかどうかは別問題です。現在コンシューマーが最もPlayStation 5に対して興味を抱いているのはその発売日と価格ですが、発売日は年内は確定ですのであとは全く情報がない価格です。
一時期SIEは同時期に次世代機を発売するライバルであるマイクロソフトのXbox Series Xの動向を見ながら決める、というニュアンスを醸し出していましたが、コロナ禍でのビジネスの成功で自信を深め、Jim Ryan氏はこのように離しています。
I think the best way that we can address this is by providing the best possible value proposition that we can. I don’t necessarily mean lowest price. Value is a combination of many things. In our area it means games, it means number of games, depth of games, breadth of games, quality of games, price of games… all of these things and how they avail themselves of the feature set of the platform.
我々がこれ(不況下では財布の紐が固いことがその発言の前にあります)に対応するベストな方法は我々ができる可能な限りの価値があるベストな提案を提供することだと考えています。私はその提案が最も安い価格という意味である必要はないと思っています。価値というのはいろんなものが複雑に絡み合っています。我々にとってはそれはゲーム自体だったり、ゲームのクオリティだったり、ゲームの数だったり、ゲームの価格だったり。それらをプラットフォーム全体でどのように活用していくかということです。
この発言で気になるのは、lowest price(最も安い価格)の部分です。特にJim Ryan氏は言及していませんが、比較対象はマイクロソフトのXbox Seires Xと任天堂のSwitchしかありません。Switchは高性能を目指していないが故に高価格ではないのでPlayStation 5の価格設定でSwitchはターゲットにはなり得ません。となると、事実上の比較対象はXbox Series Xの価格のことになります。
PlayStation 5の価格についてはマイクロソフトのXbox Series Xの動向を見ながら価格決定をするため、販売価格が決まっていないと伝えられていました。
PayStation 5はXbox Series Xより高コストと言われており、少なくとも逆ザヤ覚悟でもライバルの価格帯に合わせるかと見られていましたが、最近の状況に自信を深めたのかJim Ryan氏の発言からはXbox Series Xより高くてもビジネスとして成立すると見込んでいる今のSIEの様子がうかがえます。このままいくと、PlayStation 5はXbox Series Xより高い価格が設定にされるかもしれません。