fail0verflowのmarcan氏が、32C3で発表したPS4でのLinux起動ハッキングについての追加情報をブログで公開していました。
32C3で発表したPS4でのLinux起動についてはプレゼンテーションの時間が短かったこともあり、概要程度しか発表されませんでした。今までであればfail0verflowは32C3発表前にブログで様々な告知をして発表を盛り上げていたのではないかと思いますが、今回はfail0verflowからきちんと「32C3で発表するよ」という話がなかったため、PS4でLinuxを起動するなどという快挙の印象が薄い気がします。
まず、32C3での発表がハードウェアハッキングのデモとしていたことからハードウェアMODの可能性があると指摘しましたが、このハッキング自体はソフトウェアのみで、ハードウェアハックは調査の過程で必要だっただけだそうです。つまり、PS4でLinuxを起動するだけならハードウェアの改造は不要です。
exploitは各自が用意しfail0verflowとしてはリリースしないという点についてはmarcan氏の過去の経験則から導き出された答えのようです。
Wiiのハッキングを公開していたTeam Twiizers時代を含め、marcan氏が関わったのはWiiのBootMiiやHomebrew Channel、DSiのDSiWareHax、PS3のAsbestOSなどがあります。
marcan氏は2年半前にWii UでLinux起動を目標とすると公表したものの、結果的には何もリリースしませんでした。リリースしなかった理由についてmarcan氏は「違法コピー起動」の存在をあげています。exploitを公開することで結果的には誰かがそれを利用し違法コピー起動を可能にしてしまうのは意に反するというのがWii Uでのリリースを見送った理由だそうです。
PS4についても同様で、あくまでもLinuxをゲーム機で起動させることが目的であり違法コピー起動に道を開く可能性を秘めたexploitについてはリリースを見送るという方向性で当初から進んできています。
exploitは公開しないというmarcan氏の趣旨は、PS4のOSはFreeBSDベースでブラウザもWebKitというオープンソースなものばかりな上にハードウェア構成がPCでセキュリティもシンプルなのでexploitを見つけるのも簡単だから自分で見つけて欲しい、fail0verflowとしては目的はLinux起動のみで、違法コピー起動にも流用できるexploitは他の人が見つけたものを使ってくれればいい、そこに我々は感知しない、ということのようです。
PS4はPCのようでありながら実際にはPCにあるべきものがないため、そこでLinuxを起動するために必要なLinuxローダーなどをfail0verflowとして提供し、他の誰かが見つけたexploitでLinuxローダーを起動させることができるようにするというのがfail0verflowの目指す姿なのでしょう。
また、32C3でGBAエミュレータのデモンストレーションもしていましたがPS4 Linuxには未開発が故の大きな欠点があります。それが現状3Dアクセラレーション非対応という事実です。GBA程度のグラフィックなら問題にはなりませんがGPUパワーを使うようなグラフィックのタイトルは動作はするものの非常に遅いのです。それを解決するドライバーが開発できれば、Valveが開発したストリーミングによるゲーム配信プラットフォームSteam MachinesのLinuxベースとなるオペレーションシステムSteamOSも普通に動作するようになります。
PS4でLinuxというのは普通にゲームを楽しみたい一般ユーザーにとって魅力的なコンテンツではないと思いますが、PS4でSteamOSとなると一般ユーザーの期待も高まるのではないでしょうか。
smea氏の3dsのやつは結局違法バックアップ起動に転用されたと思うけど、
ハッカーによって倫理観に差があるということなのか