した突然のビックニュースには驚きました。任天堂自身が「スマートデバイス」と呼ぶスマートフォンやタブレットへの、任天堂のゲームコンテンツ供給は時代の流れだからそのうち実現するであろうことは予想の範囲内でしたが、DeNAとの協業は「そっちできたか」というのが正直な感想です。
発表当日に記事を書きたかったのですが、プライベートが超多忙でさらっと流してしまいました。やっと時間ができたので任天堂とDeNAの業務・資本提携についての個人的意見を書こうと思います。
結論から言うと、「おいおい、任天堂、そんなぬるくて大丈夫か」です。
モバゲーなどでネットゲームビジネスに強みを持つDeNAは任天堂が非参入のビジネスエリアで活躍する企業ですが、現在はパズドラを当てたガンホーやモンストで生き返ったmixiなどと比べると、その業界では老舗ながら再浮上のきっかけに乏しい印象です。
DeNAからすれば任天堂のIP(知的財産)の利用ができればヒット作が生まれる可能性が格段に増えます。なにしろスマホゲームは一発当てればあとはCM打って知名度上げて大躍進という恐ろしく賭博的なところがありますから、当たる確率が上がる任天堂IPは喉から手が出る程手に入れたかったでしょう。
一方で任天堂にとっては、オンラインゲームの運営などで任天堂が今更イチからシステム構築する投資をしても見返りが期待できるかどうか不明瞭な分野のノウハウが一気に手に入る訳ですからこんなに美味しい話はそうありません。
表面的には任天堂とDeNAは相互補完関係にあり、今回の業務・資本提携が上手く作用するようにしか見えません。
DeNAとの資本・業務提携を発表後には1万4000円台だった任天堂の株価が2万円越えと大幅に上がりました。過去何度もスマートフォンゲーム市場に参入を発表しなかったことで評価をその都度下げてきた任天堂ですから、それを発表したら株価は上がるに決まっています。それも発表後のご祝儀相場で現在は少し下がってきてはいますが、株価の上昇は如何に市場が任天堂のスマホゲーム参入に期待を寄せているかの裏返しでもあります。
一方でDeNAも、資本・業務提携を発表後に1400円台だった株価が2100円あたりまで上がっています。明らかに市場は両社の資本・業務提携を高評価しています。
今回の資本提携は互いに220億ずつ出資していますが、状況をまとめると以下です。
DeNAの発行済株式数の10%にあたる1500万株、総額220億
任天堂の発行済株式数の1.24%にあたる176万株、総額220億
220億円と言う数字は、決算書を見る限り総資産が1兆円を超えている無借金経営と言われる任天堂からすれば大した数字ではありません。任天堂からすると思い切った投資額とまでは言えない数字に見えます。
こんなことを考えているうちに、あることが気になり始めました。
「任天堂はDeNA買収できるじゃん。」
両社の接近のきっかけがDeNA側からの申し入れだったことから円満に話を進めて丸く話をまとめたから資本・業務提携に至ったのだとすると、これが吉と出るか凶と出るかは暫く様子を見ないと判断できません。どちらかの経営方針が変わったことが資本・業務提携解消に繋がる可能性もあり得ない話ではありません。
Nintendoというグローバル市場を相手にする企業が今後の生き残りをかけてこんな中途半端な戦略打ち出して走り始めていいのでしょうか。
任天堂がDeNAを買収、DeNAの不要部門(ベイスターズとか?)を分社化して売却。ここまで踏み込んでも良かったのではないかと。
ですから私が思う任天堂とDeNAとの資本・業務提携の感想は以下です。
「おいおい、任天堂、そんなぬるくて大丈夫か」