wololo.netで、mr.gas氏とtomtomdu80氏がPS Vitaでコンテンツやセーブデータを保存するための専用メモリーカードへのアクセスに成功したと報告していたことを伝えていました。
PS VitaはSDカードやメモリースティックのような汎用性のあるメモリーカードを採用せずPS Vita専用のメモリーカードを採用したため、メモリーカードの中身をユーザーが自由に管理できません。メモリーカードリーダーも世の中に存在しないため、カードのコンテンツ管理にはVita本体とPCなどを接続して専用アプリケーション(コンテンツ管理アシスタント)を介して行うしか方法が提供されていません。そのためPS Vita専用メモリーカードの中身はディレクトリ構造ですら分からないというブラックボックスと化していました。
一世代前のPSP時代はメモリースティックという汎用性の高いメモリーカードを採用していたためコンテンツ管理には自由度がありました。そのことがソニー的には仇となってPSPがハッキングされたのも事実です。
ユーザーは誰も喜ばないにも関わらずソニーがVitaで専用メモリーカードを採用した理由の一つには、ハッキング対策があるはずです。結果的に汎用性がないVita専用メモリーカードは保存容量の割には高額なメモリーカードとなってしまいました。
今まで多くのハッカーがVita専用メモリーカードにアクセスしようと試みたはずですがなかなか成功報告がありませんでした。ようやく今回/talkフォーラムにmr.gas氏がアクセスに成功したとして、カードのルートにあるフォルダ構造を示すスクリーンショットを公開したのです。
2.06 VHBLとして公開されたApache Overkill exploitの時の開発者tomtomdu80氏がmr.gas氏と共に取り組んでメモリーカードアクセスを事実だとしていますので、Fakeの疑いはないと考えて良いでしょう。
公開されたメモリーカードのルートの構造が分かるスクリーンショットです。
メモリーカードのルートに存在するファイルやフォルダは以下です。
/app
/appmeta
/bgdl
/calendar
/data
/email
/game
/license
/mms
/music
/patch
/pspemu
/SceIotrash
/temp
/user
iconlayout.ini
id.dat
アイコンの配置はiniファイルでコントロールしているようです。
今回公開されたものは上のスクリーンショットのみで、実際どのようにアクセスをしたのかやコンテンツファイルの公開はされていません。
もし今回の成果がメモリーカードリーダーの開発に繋がったとすれば、コンテンツ管理アシスタントを使わなくても直接メモリーカードへデータのコピーができるようになる可能性があります。VHBLやHomebrewをより簡単にVitaへインストールできるようになるかもしれません。/licenseフォルダやid.dat辺りにアカウントのデータが入っているとすると、アカウント切り替えにわざわざメモリーカードをフォーマットし直すようなことも不要になるかもしれません。
しかしメモリーカードアクセス成功がVitaハックへの大きな第一歩かといえば実はそうでもありません。
確かに今まで分からなかったメモリーカードの構造が把握できたことは進歩ですし、データ自体は7割がた暗号化されていないことも今回分かりました。おそらく暗号化されている残りの3割が肝心なデータであり、しかもVita本体ではなく保存領域でしかないメモリーカードがいくら解析できてもそれがVitaハックの進歩に繋がるとは限らないのです。
もし専用メモリーカードはのアクセス方法の詳細が公開されサードパーティがVita専用メモリーカードリーダーを発売できたとすると、少なくともVHBL関連のファイルコピーは簡単にできるようになるかもしれません。暗号化したものしか受け付けないと大きな障害になるかもしれませんが…
>専用メモリーカードのアクセス方法の詳細が公開され
この時点でSCEがまた法的手段に訴える様な事態になる可能性もあるんですかねぇ…PS3の時はそれでハック界隈に少なくない混乱が起きたので、出来れば放っておいて欲しい所ですが