Eurogamerで、かつて任天堂が開発を発表したWiiバイタリティーセンサーについて、任天堂の岩田聡社長が商品としては不十分な仕上がりだという判断で発売がペンディング状態になっていると語ったことを伝えていました。もっと技術が進めば発売したいとしていることから、事実上の開発凍結です。
指を入れて人間の生体情報を読み取ることができるWiiバイタリティーセンサーは2009年のE3で発表され、2011年の春時点で開発が継続していたことは分かっていますが、その後の音沙汰なく次世代機Wii U発売に至ってしまいました。バイタリティセンサーはWii Uの周辺機器としてはアナウンスされていませんでしたので、その時点で実はバイタリティセンサー発売への雲行きはかなり怪しかったと言わざるを得ないでしょう。
この開発凍結宣言は2013年6月27日に行われた第73期 定時株主総会のQ&Aセッションで岩田社長が質問に答えたもので、任天堂としては新たな取り組みとして開発に挑んでいたものの、思ったような性能が出せず開発が頓挫してしまったようです。
「ある程度でき上がってから社内でかなり大規模なモニターをしてみたところ、その理論どおりに反応が表れないという人がいることもわかりました。」
そう語った岩田社長によると、その大規模な社内テストの結果100人中、10人の割合で期待どおりに動かなかったそうです。
バイタリティセンサーの適用範囲が任天堂が考えている範囲よりも狭かったため、結果的に製品としてものにできなかったことを認めた形になります。
10人に1人の割合で「買ったけど動かない」というクレームがくるのが確実な製品ですから発売中止の判断は妥当です。しかし、今までにない生体信号という個人差のある情報を活用するというアイディアは非常に期待値が高いので、ユーザーとしては残念でなりません。
ただし、発売されないという可能性は、現状では限りなくゼロですが技術が進歩すればあり得ない話でもなさそうです。岩田社長は1000人のうち999人が(欲を言えば1000人中1000人が)問題ないという状態になれば商品として世の中に出したいとの意向を示しています。ハードルはかなり高いですが、今後も諦めずに開発に取り組んで欲しいものです。
>発売されないという可能性は、現状では限りなくゼロ
2年かけてもその精度だということは、かなり難しいんでしょうね。