台湾のEconomic Daily NewsとBloombergが、関係者の話として2021年に任天堂が新型Nintendo Switchを発売すると伝えていました。
どちらもいわゆる業界筋から入手した情報がソースになっています。通常どこか1つのメディアが報道した内容を引用する形であちらこちらで伝えられることが多いですが、今回は情報ソースが全く別かどうかは分かりませんがEconomic Daily NewsとBloombergが全く別のニュースとして2021年の新型Switch発売をほぼ同時に報道するという非常に珍しいパターンになっています。
ほぼ同時、と表現すると実際には語弊があります。
今回の新型Switch2021年発売のニュースは時系列的にはEconomic Daily Newsが先でした。
Bloombergの記事はもともとゲーム業界に強い情報網を持つ元Wall Street Journalの記者で現ブルームバーグ記者の望月 崇氏が書いた記事です。彼の過去の記事の実績からすると、彼が独自に持つ人脈を通して入手した情報を元に記事を書いていることは間違いありませんが、彼自身Economic Daily Newsが先に報道したことは把握しています。
出しました:任天堂は来年にも新型Switchを発売する計画。今年中は現行モデルの生産でいっぱいいっぱいなので、昨日の台湾報のように来年頭に間に合うかどうかは不明。22年3月にかけて複数の大型タイトルも期待できそうです。(1/2) https://t.co/vcGLgtn8Bc
— Takashi Mochizuki (@6d6f636869) August 25, 2020
Economic Daily Newsの報道がきっかけで情報の確認に至った可能性は排除できませんが、どちらにせよEconomic Daily Newsとは全く関係なく独自の情報として新型Switch発売の情報をつかんだことには変わりありません。
ここでEconomic Daily NewsとBloombergの新型Switchに関して伝えた情報をまとめてみます。
Economic Daily News
- 新型Switchは今年の第4四半期に生産を開始し、2021年の年明け(第1四半期)に発売
- 新型Swirchは「よりインタラクティブ」で高画質になる。
Bloomberg
- 任天堂から計画の説明を受けた複数の関係者が匿名を条件に取材に応じた。
- 任天堂は来年2021年にSwitchの新モデルの発売を計画している。
- 新モデルの詳細はまだ決定されていないが、処理能力向上や4K超高解像度グラフィックスなどが検討されている。
- 新モデルに合わせてライトユーザーおよびコアゲーマー向けに新たなソフトも発売。その発売に注力するため今年の発売計画は比較的控えめ。
Economic Daily Newsの記事はサプライチェーンの部品供給の見通しの話がメインのため新型Switchの情報は記事の中の一部に過ぎません。一方でBloombergの記事は新型Switchのみをターゲットにしているため、新型Switchの話だけを取り出すと情報量が多めです。また、内容には一部違いがあります。具体的には
- 来年2021年発売は共通しているが、Economic Daily Newsは第1四半期と限定しており、Bloombergは年内は現行モデルの生産で手一杯のため第1四半期に間に合うかどうかまで分からないとしている。
- 新型の特徴は高画質という方向性は一致しているが、Bloombergはまだ詳細については決定している訳ではないと伝えている。
というところが異なります。
Economic Daily Newsの「よりインタラクティブ」は中国語で「互動性更高」と書いてあります。おそらくセンサー類の強化で、Wii時代のWiiリモコンがWiiリモコンプラスに進化したようにJoy-Conのセンサー強化を意味している可能性があります。
また、高画質というとディスプレイが現行の1280×720ピクセルから1280×1080ピクセル(フルHD)になるのか、HDMI出力が4K(現行は最大 1920×1080ピクセルの60fps)に対応するといったことが考えられます。
任天堂はNintendo Switch システムバージョン 10.0.0で5 DRAMを追加したモデル(コードネームCalcio)のサポートを追加しています。新型SwitchはそのCalcioの可能性が高いと考えられます。
もともと新型Switchが発売という話は以前からあり、2020年半ばに発売とも言われていましたが、実際には現時点で発売には至っていません。
あくまでも私見ですが、ソニーとマイクロソフトの次世代機発売が年末に控えていることからその前後に新型Switchを発売して需要を喚起することは任天堂も検討していたことでしょう。ところがコロナ禍以前から既にSwitchの売れ行きが好調であったところに巣ごもり需要増による在庫の枯渇で、PlayStation 5とXbox Series Xの発売前に新型Switch発売という戦略は有効ではないと判断し、ライバル機の発売後に新型Switch投入という方向に舵を切ったのかもしれません。
現行Switchの品薄が今後も(年末商戦期まで引っ張るとか)続くことが予想されると、新型Switchの発売は年明けどころかもっと遅くなる可能性も否定できません。Bloombergの報道の方が理にかなっていると思います。