CVGで、任天堂の宮本茂氏がzoomin.tvのインタビューの中でWii Uの『ピクミン3』、3DSの『ルイージマンション2』の他にオリジナルタイトル開発に取り組んでいると語ったことを伝えていました。
このニュースについてはちょっと疑問があります。宮本氏が新タイトルに取り組んでいるのは本当だとは思いますが、ニュースソースとして提示されているzoomin.tvの英語字幕と宮本氏のコメントが微妙にリンクしていないため「ホントにそんなこと言ったの?」的ビデオになっているためです。
実際にオリジナルタイトル開発に取り組んでいるという下りはナレーションで語られており宮本氏のインタビュー部分ではありません。
日本語はセンテンスの重要な意味を伝える述語部分が言葉の最後に来ることが多いので語尾まで聞かないと正確な意味が分からない非常に難しい言語だと思います。ですから日本語のインタビューをセンテンスの途中でぶった切って字幕付けてこう言ってますと言われても信じ難いです。全体的に英語字幕は意図している意味は間違っているとまでは言いませんが、微妙なニュアンスを汲み取っていない雑な翻訳なので余計に信用度が下がります。
「宮本氏がWii Uの『ピクミン3』、3DSの『ルイージマンション2』の他にオリジナルタイトル開発に取り組んでいると語った」との英語ナレーションのあとに続いている宮本氏のコメントとその字幕は次のようになっています。
- 宮本氏「みなさんがそう思ってくれてるってことに対しては凄いプレッシャーかもしれないが、自分が次何かをしないといけないというプレッシャーはないですね。」
字幕 People have come to expect a lot from me. This certainly makes me feel some pressure.
みなさんが僕に期待してくれることに対しては、確かにちょっとプレッシャーです。
宮本氏「いつもね、例えばあるものが売れたら今度はそれ以上のものを期待されるということを繰り返して。」
字幕 But if you ask me, ‘is it too much pressure to try to come out with something new?’
でも、たとえば僕が「何か新しいものを生み出そうとするのは凄いプレッシャーではないですか?」と聞かれたとしますよね。
宮本氏「そうするといつも、それ以上のものはできないんじゃないかって思うんですよね。普通は。ところが世の中の全部のものを見てたら、いつも新しいものは出てきますよね。」
字幕 I have to say no, I’m enjoying myself. But when I make something I always try to do my best.
僕はいや、プレッシャーにはなってないと答えますよ。僕自身わくわくしながらやってますから。でも何かを作る時にはいつもベストを尽くすようにしています。
英語と日本語では文法が異なるため必ずしも英語字幕と日本語部分が一文ごとにリンクしている訳ではありませんが、少なくとも宮本氏が話している内容を聞く限り、英語字幕内容はビデオには入っていない全然違う部分で話した内容を入れているか、その全然違う部分も含めて勝手な解釈で英訳されたかのいずれかです。
この宮本氏のコメントを翻訳したと認識された字幕が宮本氏の言葉として世界中を駆け巡るのです。
任天堂の宮本茂氏 引退騒動の真相でも書いた通り、英語と日本語の文化の違いから生まれるニュアンスのすれ違いは恐ろしいです。