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PS5 Proと同等スペックのゲーミングPCを作ると幾らかかるのか

先日PS5 Proが正式発表されましたが、価格が税込み119,980円と、ゲーム機としては相当高額になりました。

12万円も出すならゲーミングPC買うわ、という声も耳にします。

ちょうどIGNでPS5 Proと同等のPCを作るという記事か掲載されたので、それをトレースする形で「PS5 Proと同等スペックのゲーミングPCを作ったら幾らかかるのか」を調べてみました。パーツはIGNがチョイスしたもので考えます。

CPU: AMD Ryzen 7 3700X

25,352円(税込)

PS5 ProのAMD Zen 2は強力なアーキテクチャですが現時点では最新ではありません。まだ購入することは可能ですが、いずれ同等スペックは購入できなくなります。ただ、PS5 Proに合わせることにこだわらなければ済む話ではあります。

AMD Ryzen 7 3700X は8コア16スレッドで、基本的にPS5のものと仕様は同じです。逆に自分でPCケースに組み込むため電力や冷却面でPS5より優れたパフォーマンスを発揮するでしょう。

PCであれば費用をちょっとケチってAMD Ryzen 5プロセッサにすることも簡単にできます。ケチったとしてもゲームプレイパフォーマンスが劇的に低下するようなこともありません。

GPU: XFX Speedster Radeon RX 6800

70,626円(税込)

PS5 Proに搭載するGPUは、現行PS5のGPUと比較してコンピュートユニットの数が67%増加しているほか、GPUメモリも28%の高速化しています。IGNでは計算した結果、製品としてはAMD Radeon RX 6800が該当すると判断しました。

AMD Radeon RX 6800は前世代のグラフィックカードになりますが、今でもパワフルなカードです。AMD Radeon RX 6800は2020年に北米では579ドル(日本円換算約81,500円)ですが、現在は350ドル程度(約50,000円)です。日本だと高いですね。

PS5とは異なり、グラフィックカードであればCPUとRAMを共用する必要がなく単独でRAMを使えるため、スペックが同等でも実性能的にはPS5 Proを上回ります。

メモリ: Patriot Signature Premium 16GB DDR4

5,139円(税込)

PS5はCPUとGPUでメモリを共有するため、PCに搭載する場合適切なRAMを選ぶのは難しくなります。一般的にシステムをスムーズに動作させるためにはそれなりの量のメモリが必要なため、現在の最新のゲーミングPCでメモリの最低ラインである16GBとしました。

PS5のメモリはGDDR6の16GBです。PCでRadeon RX 6800と組み合わせた場合、計算上PS5の倍となる32GBのメモリを搭載することになります。PCの場合システムメモリとビデオメモリは別なので、PS5と直接性能比較することができません。

PS5はメモリの転送速度が高速ですが、今回選択したPatriot Signature Premium 16GB DDR4はPS5 ProのGDDR6メモリよりも低速です。しかしGPUがその低速メモリへアクセスするわけではないので、ゲーム性能には大きく影響はしないでしょう。

マザーボード: MSI B550M Pro WiFi

9,990円(税込)

マザーボードはPCのCPUや、メモリ、SSDといったパーツ同士を繋ぐ重要な役割を持っていますが、使うPCケースによって選ぶマザーボードが異なったり、インターフェースの充実度が違ったりします。

高い物を選べばより充実したPCになりますが、IGNが選択したMSI B550M Pro WiFiでもWi-Fiが内蔵されており、MSI B550M Pro WiFiのようなミドルレンジの場合必ずあるわけではないM.2 SSDスロットが搭載されているため、PS5同様高速SSDを接続できます。

SSD: WD Black SN770

2TB 25,500円(税込)

MSI B550M Pro WiFiマザーボードにはSSD用のヒートシンクが内蔵されています。PS5でM.2 SSDを使用する場合ヒートシンクや熱伝導シートなどの放熱構造が必要で、別途用意してM.2 SSDに取り付けるか、あらかじめヒートシンクなど放熱構造が組み込まれたM.2 SSDを購入する必要がありますが、ヒートシンクがあるMSI B550M Pro WiFiの場合その必要がありません。

WD Black SN770はPCIe Gen4インターフェースで、最大2TBを手頃な価格で購入できます。

Western Digitalの公式サイトではWD Black SN770は最大5,150MB/秒をうたっています。以前IGNでテストした際、実際5,150MB/秒に匹敵、場合によってはそれ以上の性能を叩き出していたそうで、「PS5のSSD性能に匹敵する」としています。

電源: Thermaltake Toughpower GX2

16,073円(税込)

電源選びはスペックよりも信頼できる製品を選ぶのが王道です。使っていて良さを実感するものでもなく、十分な電源容量を安定して供給さえしてくれればいいだけの黒子です。

電源には80PLUSという規格があります。電力変換効率の性能によって下からSTANDARD、BRONZE、SILVER、GOLD、PLATINUM、TITANIUMの6段階がありますが、IGNでは80PLUS BRONZE規格以上を選ぶべしとしています。

Thermaltake Toughpower GX2は80PLUS GOLDでその基準を満たしています。AMDがRadeon RX 6800との組み合わせを推奨しています。推奨電源は650Wですが、IGNでは600Wモデルを選んでいます。少なくとも600Wで80PLUS BRONZE以上の電源ユニットを選ぶ必要があります。

ケース: Cooler Master N200

35,515円(税込)

ケースはピンキリで好みのものを選べばいいですが、今回マザーボードをMicro ATXで選んだのでケースもMicro ATXケースにします。PS5 Proの同等品としてのPCですので巨大なタワーのようなPCにはしたくないですよね。
それでもPCはPS5よりどうしても大きくなります。
Cooler Master N200は202mm x 378mm x 445mm
PS5 Slimは96mm x 358mm × 216mm(幅×高さ×奥行:縦置き)
PS5の方が厚みがない分PCケースより遙かに小さく感じます。

ここまでのハードウェアだけで合計188,195円です。IGNではアメリカのアマゾンの価格の積算で約863ドル(今日の為替レートで日本円だと約121,300円)としていますが、日本のアマゾンで同じように揃えるとハードだけで19万円になります。

IGNではここまでのパーツだけで価格計算比較しましたが、パーツだけではPC動かないのでOSを別途用意してインストールしなければなりません。一般的にはゲーミングPCのOSはWindowsなのでWindows Proで考えます。

OS: Windows11向け DSPライセンス日本語 (Pro)

8,480円

マイクロソフト公式サイトからのダウンロード版です。1台のPCで利用可能のライセンスキーを購入することになります。

OSを入れてトータルで計算上は196,675円。価格はアマゾンの調査時価格です。日々変動するのでおおよそ20万円といったところでしょう。そうなるとPS5 Proの倍までは行きませんが、1.7倍のコストがかかることになります。

IGNが選択したパーツはPS5アーキテクチャ相似に拘っているため、既に旧モデルとなっている物が目立ちます。ドスパラのBTOで選ぼうと思っても選択肢がないのが現状でした。

ドスパラでざっくりと過不足ないスペックの、今入手できるミドルレンジBTOモデルで選んで見ましたが、だいたい20万円前後の金額になりました。12万円のPS5 Pro並みのゲーミングPCを購入するなら20万円位になるようです。PS5 Proとの差は8万円。

ゲーミングPCだと、ローエンドモデルにすればPS5 Pro並みの12万円ですが、500GBであることが多いSSDや無線LANカード追加などのカスタマイズをしてPS5 Proにスペックを揃えると15万円近くまで跳ね上がります。ゲームプレイができないレベルではないので、ゲームのためにPS5 ProではなくゲーミングPCを購入するならローエンドでも構わないとは思います。

IGNの記事だと、選んだパーツを組み合わせたPCは863ドル(約121,300円)で、PS5 Proの699ドル(約98300円)との差額は23,000円となっています。確かにその金額差ならPS5 ProよりPCの方が魅力的ですが、日本だとその価格差に収まるのはローエンドゲーミングPCになります。

PS5 Proはブラウザすら表向き使えない、ゲームしかできないように厳しく制限された単機能PCです。PCであればマルチユースに対応します。ゲームのためにPCを選ぶことによる欠点は唯一、普通の人にはかなりどうでもいいと思われる、Jailbreakする楽しみがなくなること位でしょう。

またPCの場合はCPUを高速に動作する物に入れ替えたり、グラフィックカードをアップグレードしたりして購入後も任意にアップグレードできます。万が一故障してもパーツの入れ替えで対応できます。ゲーム専用機ではそれができません。長く使うと言う意味ではゲーミングPCに軍配が上がります。
※厳密にはWindows使うならキーボードとマウスも必須ですが、安価なので言及しませんでした。

結論!買うならPS5 Pro?ゲーミングPC?

記事の趣旨的には
懐に余裕があってマルチに使いたいならゲーミングPC
Jailbreakする楽しみを残したい、またはちょっとでも安い方が良いというならPS5 Pro
となりますが、実はこの結論には大きな落とし穴があります。

この記事を読んでもチンプンカンプンな方なら実感するのではないでしょうか。PCはハードルが決して低くないのです。

「自分でパーツ選んでパソコンなんて組み立てるの無理」という方が実は最も多いのは間違いありません。そう言う方のためにショップでゲーミングPCという製品が用意されているのですが、パソコンに疎い方にはそれでも敷居が高いと思います。

つまり、ゲームのためにゲーミングPCを購入すること自体躊躇する原因になるユーザーが大多数なのです。

ハードとソフトを買ってきて電源入れるだけでゲームがプレイできるのがゲーム専用機の良さです。設定は必要ですが、せいぜいアカウント入力程度です。

近年はゲーム専用機だけでなくPC向けにも同じゲームがリリースされるようになってきていますから、ゲーム専用機を選ぶメリットは実際少なくなりつつあります。

「PCより安価でハイスペックなハードウェアが手に入る」ことがゲーム専用機の存在価値でしたが、ゲーム専用機の度重なる値上げによりPCとの価格差が少なくなりました。ライフサイクルが長いゲーム専用機は発売からの時間の経過と共に、年々高性能化されるPCとの性能差がなくなってくるタイミングがあるのは事実です。

ゲーム専用機は高くても5〜6万円が感覚的には上限ではないでしょうか。その金額ではPCは超ローエンド位しか買えません。そう言う環境がなくなってしまったのが残念でなりません。

PCも当然値上げはされていますが、市場規模の違いが大きいのかPS5の値上げ幅が尋常じゃないので「この金額出すならちょっと足してゲーミングPCを」となってしまいました。

こういう時代だと、スペックを追い求めずコンテンツやゲーム体験を重視した任天堂の戦略が優位になります。ゲーム専用機はこれからは冬の時代に突入することになるかも知れません。

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