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Switchの対策基板Marikoはハッキング対策モデル 任天堂が公式に認める

NintendoEverythingで、Team Xecuter裁判の公式文書が公開され、その中で任天堂がハッキングに対抗するために新型Switchを開発したことを公式に認めていたと伝えていました。

米連邦裁判所が今年2月、Team XecuterのメンバーであるGary Bowser(GaryOPA)被告に懲役40ヶ月の実刑判決を言い渡したことで、Team XecuterがNintendo SwitchのカスタムファームウェアSX OSの販売やMODチップSX Core/Liteの販売は違法との司法判断が出て、騒動は一旦一段落しました。

その後裁判記録が公開され、裁判の中で任天堂側の弁護士が主張した詳細な内容が明らかになりました。

その中で、このような任天堂側の発言が見つかりました。

任天堂は(Team Xecuterの)ハッキングツールに対処するために新型ハードウェアの発売を余儀なくされました。この対応に莫大なエンジニアリング、製造、流通、リソースの調整が必要でした。これは被告およびTeam Xecutorが我々の技術的保護手段を攻撃した直接の結果であることは明確です。

Nintendo Switch システムバージョン 5.0.0で新しいSoC「Mariko」の記述が見つかった

ことから、MarikoはFusée Geléeのハッキング対策版ではないかと噂され、その後実際発売された「バッテリー持続時間が長くなったNintendo Switch」はFusée Geléeが動作しない「対策版」Switchでした。

これまでは単なるシーンでの調査の結果の事実としてMarikoはハッキング対策と言われてきただけですが、任天堂が公式にTeam Xecuter裁判の中でこれを公式に認めていたことになります。

後に「Fusée Gelée」と呼ばれることになるcoldboot exploitが公になったのは2018年2月で、Marikoの開発がファームウェアの記述から明らかになったのは2018年3月。coldboot exloitの発見はfail0verflowチームとReSwitchedチームによるものですが、それより前の2018年1月に同じNVIDIA Tegraプロセッサの脆弱性を利用して起動時に任意のコードを実行できるcoldboot exploitを利用する製品を発売するとしてTeam XecuterがNintendo Switchシーンへの参入を発表しています。

実際Team Xecuterがfail0verflowチームやReSwitchedチームからの情報を入手してcoldboot exploitを手に入れたのか全く別で発見したのかは不明ですが、いずれにせよNVIDIA Tegraプロセッサの脆弱性を利用した「Fusée Gelée」がきっかけになってMarikoが開発されたのは事実です。

一方で、任天堂はTeam Xecuter裁判で先に述べたようにMariko開発を強いられた責任をTeam Xecuterだけに押しつけています。実際にはfail0verflowチームやReSwitchedチームというSwitchシーンメンバーが関わっていたものがいつの間にかTeam Xecuterだけに責任転嫁している形です。

任天堂は、過去にもNintendo DSのFlashcart(いわゆる「マジコン」)で輸入業者へ法的措置をとったりしてきましたが、無償でハッキングに取り組みオープンソース化する有志に対してはそこまで強硬な態度には出ませんでした。それは今でも続いており、SwitchのカスタムファームウェアであるAtmosphereなどには特に影響は出ていません。

ゲーム機でLinuxやHomebrew起動を目指し、すべてをオープンソース化するハッカーに対しては、任天堂としては自らの確認不足で招いてしまった事態の責任を押しつける理由が確立できないのでしょう。仮にそれが著作権侵害に繫がったとしても(実際理論的には必ず繫がるんですけどね)、シーンメンバーは寄付を募ることはあっても一切それによる対価を得ていないのであれば、法的に対処するのが困難なのだと思います。

今回の裁判で、もしTeam Xecuterが現れなかったらSwitchシーンはどうなっていたんだろう、と気にはなりますが、よく考えたら先述のDSのFlashcartもどうもTeam Xecuterが絡んでいたようなので、任天堂にとってはそもそもハッキングシーンがターゲットなのではなくTeam Xecuterを最初からターゲットにしていて、いつか法的餌食にしてやりたいと機会を伺っていたところにTeam Xecuter自ら罠に飛び込んできただけなのかもしれません。

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