GitHubで、SciresM氏がNintendo Switch向けカスタムファームウェアAtmosphèreの今後のロードマップでMariko基板でのAtmosphère実行についての今後の検討事項を公表しています。そこではTeam-XecuterもMODチップSX Core/SX Liteには依存しない方向性を打ち出しています。(ああああさん情報ありがとね)
Atmosphère 0.13.0から、exosphèreと呼ばれるAtmosphèreのSecure MonitorというセキュリティアーキテクチャTrustZoneへのアクセスに関する仕組みが変更されました。これはMariko基板のサポートのための第一歩です。
ただし、MarikoハードウェアではAtmosphèreはそのままでは動作しません。多数のコンポーネントで膨大な修正が必要になります。exosphereでのセキュアモニターサポートは完了していますが、一方でbootloaderとstratosphere側にも今後同様の作業が必要です。
そして、Marikoサポートには実はさらなる設計の検討も必要です。
Atmosphèreのデバッグ設計はreboot-to-payloadと、(一般的には)warmboot bootrom haxができるか否かに大きく依存しています。Marikoではこれは不可能なので、どのような方法を選択するかに関わらず新しい設計や新しいソフトウェアのサポートが必要になります。つまり、今の仕組みとは全く別の新しい何かを見つけないと不可能だと現時点では考えてAtmosphèreを開発していることになります。
Mariko基板ではfusée geléeのようなコールドブートハックではなくウォームブートハック(warmboot bootrom hax)が必要、つまり電源投入後に何らかのexploitを発動させ、ソフトウェアのみ再起動することでハックできるような方法を見つけられるかどうかAtmosphère起動の可否がかかっています。このウォームブートハックは仮に方法が見つかったとしてもファームウェアアップデートで簡単に対策されてしまう可能性が濃厚です。
そんなことはまだムリではないかと感じますが、完成予定時期を2020年夏とわざわざ書いていることから、もしかすると何らかの勝算があるのかもしれません。2020年夏という表記は1ヶ月ほど前のロードマップにも存在することから最近なって新たな展開があったと言うわけでもなさそうです。もしかすると単にウォームブートハックを除いての、それが発見されたときに備えての準備としての完成見込みが2020年夏という意味しかない可能性もあります。
注目すべきは、現在Mariko基板を唯一ハックできる存在であるTeam XecuterのMODチップSX Core/SX Liteへの言及が一切存在せず、ウォームブートハックにしか言及していない点です。現時点ではAtmosphèreのMariko基板での起動はSX Core/SX Liteの購入およびインストールを前提としていないことが分かります。
Switchシーンが任天堂に法的措置をちらつかせられているTeam Xecuterに同調することはあり得ませんが、最近は開発者同士の秘密裏のコミュニケーションと情報共有が容易になったことから近年のゲーム機はウォームブートハックがぽこぽこ出てきています。Mariko Switchでもそれは不可能と断言する材料は存在しないので、のんびりSwitchシーンの今後の進展を見守りたいと思います。