GitHubで、cnsldv氏が本来ならできないようになっているVitaの専用メモリーカードの他のVitaへの使い回しを可能にすることができるHENkaku環境のVita向けユーティリティCardUnlock v1.0をリリースしていました。
Vitaの専用メモリーカードは自由な使い回しという観点からは非常に使いにくいものとなっています。その一例としては、例えばVita2台持ちで1台がHENkaku環境(ファームウェアが3.60)で1台が最新ファームウェアという場合に、ファームウェアのバージョンが低いVitaへ最新ファームウェアで使っていたメモリーカードを差すとアップデートを要求されるため結局使い回しができないといったことが挙げられます。
これはソニーによる使い勝手の悪い機能の実装のためで、異なるファームウェア間や異なるVita間でのメモリーカードの使い回しが禁止されているからです。
CardUnlockの主な使用用途は、この制限を回避しHENkaku環境のVitaでメモリーカードの使い回しを可能にするというものです。
[インストール方法]
HENkaku環境のVitaでCardUnlockのVPKをMolecularShellまたはVitaShellを使ってインストールします。1000型(初期型)Vitaの場合はApplication Storage Managerを使用してCardUnlockを内蔵ストレージへムーブします。
Application Storage Managerはアプリケーションをメモリーカード(ux0:app/)から内蔵ストレージ(ur0:app/)へムーブする(その逆も可能)ためのユーティリティです。1000モデルはux0:にメモリーカードがないため内蔵メモリへのインストールする必要があります。
なお、CardUnlockはUnsafe HomebrewとなっているためHENkakuの最新版であるHENkaku Release 8では動作せず、HENkaku Release 6なら動作するようです。
[使い方]
3.60のVitaでメモリーカードを挿入していない状態でHENkakuを起動し、その状態でCardUnlockを起動しメモリーカードを挿入します。
Do you want to restart now?(再起動するか?)を聞かれるのでNo(いいえ)を選択、その後Xボタンでid.datを削除、OでCardUnlockを終了します。終了後はメモリーカードをVitaから抜いて他のVitaに差すことができるようになります。
CardUnlockで削除するid.datはメモリーカードのルートにあるファイルで、そのファイルがない場合Vitaは新しいカードだと認識してメモリーカードをVitaへマウントします。マウントされればVitaでそのメモリーカードは使用できるようになります。
手動でid.datを削除しても良さそうなものですが、残念ながらVitaはメモリーカードを差した段階でチェックしに行ってしまうためマウントできなくなり、結局手動での削除はできません。
CardUnlockは、実際にメモリーカードをマウントするxmc0: (ここにマウントするとVitaはid.datをチェックしない)にメモリーカードをマウントしてid.datを削除しています。
同じようなユーティリティは過去にSMOKE氏のmemcardswapがありました。memcardswapはメニューがあったりid.datを削除だけでなく読み込み専用にできるところが異なりますが、やはりバージョンチェックが回避されてメモリーカードの使い回しが可能になります。SMOKE氏によるとメモリーカードはid.datを読み取り専用にするだけでカードスワップは可能らしいので、memcardswapとCardUnlockの違いは読み取り専用にして書き込めなくするか、そもそも無くしてしまって新規に作成させるかの違いのようです。