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『Homebrew Launcher』の登場まもなく。その前に今回のドタバタを振り返る。

ニンテンドー3DS初のHomebrewローダー『Homebrew Launcher』の登場はまもなくです。そしてその『Homebrew Launcher』起動に必要なセーブデータexploitを持つゲームタイトル『Cubic Ninja』がついに発表されました。ところが平日昼間の発表だったため、実際には欲しくても手に入らなかった方もいるのではないでしょうか。その平日昼間のドタバタをちょっとまとめてみて、振り返ってみたいと思います。


ニンテンドー3DSで初めてのexploitとなるSSSpwnに必要なゲームタイトルがようやく公開されました。exploitを発見し、そのexploitを利用してHomebrewを起動させるHomebrewローダー『Homebrew Launcher』を開発したsmea氏は以前からツイッターを利用して開発経過報告をしていましたし、一度はリリース告知をしたもののその後newニンテンドー3DSの発売が明らかになったためSSSpwnの公開を一時延期していたこともあり、長く待ち焦がれたという方も多いと思います。

そんなこともあり、SSSpwnへの3DSシーンでの期待値は高まっていました。SSSpwnはセーブデータexploitのため利用するにはゲームが必要であることは分かっていました。当初から私はそのゲームタイトル入手に争奪戦が繰り広げられることを予想していましたが、発表されたゲームタイトル『Cubic Ninja』が2011年発売の古いタイトルであったこともあり既に新品が市場に殆ど流通しておらず、爆発的に売れたミリオンタイトルでもないので数少ない中古を巡って予想以上に激しい争奪戦になりました。ネットでは早々に売り切れ、店舗でも中古があっても1つがいいところでした(私調べ)。

楽天では安い中古から順に売り切れ、アマゾンでは新品価格を超えるプレミアムでの販売になり、唯一日本版のみダウンロード版が存在したeショップでもゲームタイトル発表から24時間を待たずして(12時間も経過していなかった?)速攻販売終了で購入できなくなりました。

smea氏はそこまでの争奪戦は想像していなかったようです。あっという間にアマゾンで定価以上に跳ね上がった『Cubic Ninja』を知りこんなことを言っていました。


そうなる可能性はあったから注意してねとは言ってたけど、こんなに早く値上がりするのは想定外。1週間位後には、と思ってはいたけどまさか数時間後とは…

甘い、甘すぎる…

PSPシーンでは初めて公開されたexploitタイトル『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』(北米版)は当時今回と同じように価格が高騰し、日本では販売されていなかったこともありオークションでも1万円超えが当たり前になってました。
その後に公開された『ルミネス』『グリップシフト』(共に日本版が存在)も新品が殆ど手に入らず流通在庫の主流が中古でタマ不足が輪をかけて価格が高騰しました。当時はSNSが今ほど普及しておらず即座に情報が拡散する時代でもありませんでしたが、それでもネットで1日経てばある程度情報が拡散してしまい、それから入手に動いたのでは出遅れ著しい状態でした。

PSPはその後ゲーム購入に頼らない方法の模索が始まりました。TIFF exploitや体験版exploitがその例です。

ダウンロード版のみに制限されたPS Vitaでは、一般公開前に『ニンジャリリース』と名付けたこっそりゲームタイトルを教える方法まで編み出されました。

つまり、PSPシーンはVitaに至る現在までの長い失敗の歴史の繰り返しの中で如何に多くの人にexploitの恩恵を受けられるようにするかに主眼を置いて発展してきたと言えます。

『Cubic Ninja』のほぼ即時値上がりは、別に私だけが予想していたわけではなく、PSPシーンを見てきた人なら全員思っていたことではないでしょうか。

ニンジャリリースのポイントは、知ったとしても誰にも明かさないというシーンメンバーの信頼の上に成り立っています。そこがsmea氏が理解できなかった部分で、実はsmea氏がゲームタイトルを発表すると公表した時点でニンジャリリースを主催するwololo氏はsmea氏に協力を申し出ていたのです。

ところがsmea氏は3DS初のexploit公開を自分で行うとしてその申し出を断ったのです。自分が開発したものを他人に委ねることに抵抗があったのか、そもそもニンジャリリースなんていうものを信頼するに足らないと思ったのか、そもそもそんなことすら知らずいきなり何を勝手なことを言っているのだと一蹴したのかは分かりませんが、結果としては日本ではウィークデーの真っ昼間にゲーム名を公開したため学生は購入できず社会人も購入できず、本来なら時間さえあれば替えたはずのダウンロード版も任天堂の稼働時間で早々と配信終了の決断が社内で承認されeショップからも削除され、と最も手に入れるのが困難な方法を敢えて選択したとしか思えない混乱ぶりです。

ウィークデーという選択をしたことについて、smea氏は次のように話しています。


実は、もともとは週末に公表してリリースするつもりだったんだ。でも不測の事態ってのがだいたい起こるので。


不測の事態ってのはこのことなんだけど、22日に公開はもうなし。NINJHAX(ニンジャハックス)は20日の今晩リリース予定だよ!

当初smea氏自身は何月何日にリリースという具体的な日程までは言及していませんでしたが、テスターサイドから11月22日公開などという話が突然でてきていました。それはsmea氏の決断も関係していたと思われますが、内容は不明ながら何らかの不測の事態が実際に存在したのだと思われます。

いずれにせよ、exploit公開には一定のリスクが常に付いて回るので、本来ならそこはきちんとamea氏がコントロールするか、wololo氏のニンジャリリースにのせるかをすべきでした。wololo氏は常にゲームタイトルのニンジャリリースを数週間行い、その後の一般公開を週末に行ってきたため、一般公開で初めてゲーム名を知ったが購入できなかったという事例ですらほとんど聞きませんでした。

ニンジャリリースの最も効果的なところは、実は事前にこっそり教える部分ではなく週末の絶妙なタイミングでのゲーム名一般公開だと私は考えています。

週末の一般公開は、ソニーが休日でストアでの販売中止の承認がどうも月曜までできないっぽいこと、一般的には学生も社会人も休みの人が多いためゲームの入手のための時間を作ることができる、などのメリットがあります。smea氏の今回の日本でのリリースタイミングはそれと全く逆であることが分かりますか?つまり、少なくとも『Cubic Ninja』のカード版とダウンロード版どちらも選べた日本では最も入手が困難になるタイミングでゲーム名が公開されたことになります。

今回必死で『Cubic Ninja』を手に入れた方も多いと思いますが、時間が経過するにつれPSPの『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』と同じ運命を辿るはずです。つまり、次のアップデートで対策され使えなくなり、そこでも動く別のexploitが発見され興味がそちらへ移り…の繰り返しで、そのうちその存在すら忘れられます。

個人的な見解ですが、どちらにせよファームウェアアップデートで使えなくなるのであればダウンロード版でもゲームカード版でも結果は同じということですので、入手のし易さという確実性向上のためにダウンロード版が存在するゲームでのexploitを優先して探したほうが良いと思います。そしてゲームタイトル公開は必ず週末で。世界的にどこでも週末になるような時間を選んで公開すれば良いと思います。

問題は、3DSのダウンロード版販売開始が最近のことでラインナップが少ないことですね。更にダウンロード版がある最近のものだと暗号化方法が途中で変わっていることもありexploitの探し易さの面で3DS発売当初のものとは差があるかもしれないということです。なお、3DSのセーブデータexploitの情報を私は持っていませんので、3DSでのexploit探しがどれほどの作業量なのかすら想像がつきません。

[追記]2014.11.22
沢山コメントをこの記事に頂いているのでここに追記しておきます。ちょっと忙しくてリリース後の追記ができていませんでした。

SSSpwnは“ninjhax”と命名され公開されました。”ニンジャハック”ではありません。カタカナ読みにすれば「ニンジャックス」でしょうか。

smea氏の公開した動画を見てもらえれば分かりますが、最初にQRコードを『Cubic Ninja』で読み取るというユニークなものです。

公式サイトも公開されました。
http://smealum.net/ninjhax/

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