wololo.netで、PS Vitaのリージョンロック解除ハックの仕組みを公表していました。
Koala氏を中心とするグループのPS Vitaリージョンロック解除ハックしたことを、wololo氏自身かなり懐疑的に捉えていましたが、wololo.netで記事を書いたfate6氏が暴露したのは、ハッキングと表現するのはいささか疑問を感じるトリックでした。
Koala氏が主張するリージョンロック解除ハックとは、日本のアカウントで使用するPS Vita TVでUSストアにあるNetflixをインストールして起動することができ、更には他リージョンのアプリに署名して自分のVitaにインストールできるという不正利用も可能だという「ハッキング」です。そのハッキングならぬ「トリック」が明らかになりました。
ストアで販売されているアプリケーションの中にはDRMフリー(著作権保護の仕組みでロックされていない)のものがあります。それらはストアからダウンロードするとアカウントに紐付けされますが、保護されたコンテンツと比較するとセキュリティ面での制限が緩くなっています。
Koala氏らがインストールできたと主張しているNetflixや日本のストアで販売されているeReaderがそれに当たります。
通常はNetflixアプリを日本のアカウントでダウンロードすることはできませんし、USアカウントでeReaderをダウンロードすることももちろんできません。
Koala氏らが成功したと主張しているのは、これらリージョン制限のあるアプリを非対応アカウントで起動できたという内容です。
その「トリック」は実は非常にシンプルなもので、以下のような3ステップで日本のアカウントで使っているPS Vita TVにNetflixがインストールできます。
(1)Netflixアプリのpkg自体を入手する
(2)”ある特殊な”PS Vitaを使い日本のアカウントでインストールする
(3)コンテンツ管理アシスタントでバックアップして、PS Vita TVに転送する
NetflixアプリのpkgはUSアカウントを作成してcharles proxyやSKFU Pr0xyでpkgのダウンロードリンクを入手すればソニーのサーバーから直接ダウンロードできます。
問題は”ある特殊な”PS Vitaの部分です。
実はKoala氏はKioskファームウェア(店頭デモ製品本体のファームウェア)に存在するコンテンツダウンローダー機能を利用したのです。Koala氏自身、Kiosk Vita(店頭デモ用PS Vita)を所有していることを認めています。このKiosk Vitaというデモ機に彼のテスターの日本版アカウントでログインし、無料の体験版をアカウントに関係なくダウンロードできるコンテンツダウンローダー機能でNetflixのpkgをインストールしました。Kiosk Vitaにはリージョン制限がないためそれが可能になるそうです。
Kiosk Vitaのコンテンツダウンローダーというのはこのようなものです。
Kioskのコンテンツダウンローダー機能により、PS Vitaの店頭デモ製品本体を使って日本のアカウントでNetflixをインストールできてしまいました。最後にKiosk Vitaで日本のアカウントに紐づけられたNetflixをコンテンツ管理アシスタントでバックアップを取り、PS Vita TVへ転送すればあたかも日本のアカウントで使っているPS Vita TVにNetflixがインストールできてしまうというトリックが完成です。
こうして見ると、ハッキングでもなんでもなく本当に「トリック」と呼ぶべき内容ですね。そもそも店頭デモ機自体を入手する手段が通常はないので誰でも再現できるトリックではないと言っても過言ではありません。
なお、この記事を公開する前にwololo氏が直接Koala氏のチームにコンタクトを取り確認したところ、その「トリック」呼ばわりは事実無根である上に(DRMフリーのものではなく)市販のゲームで同じことができているのだと主張していたそうです。じゃあ証明してくれよと要望したところ、12時間後にはチームのツイッターアカウントが削除されていたそうです。私も情報収集のためKoala氏のツイッターアカウントをフォローしたのですが、夜フォローして朝起きたらアカウント削除されていました。要するに窮地に追い込まれて逃げた愉快犯です。