Destructoidで、SCEがクラウドゲーミングサービス企業のGaikaiを約3.8億ドル(約300億円)で買収することを発表したことを伝えていました。
Gaikaiはクラウドを利用してインターネットよるゲーム環境を提供する企業で、ゲーム自体はサーバー側で実行しユーザーはストリーミング、つまりそのゲームの映像と音声を受け取ってゲームをプレイすることになるため専用ゲーム機の必要がないことが特徴です。そのため流通や小売店舗といった既存のゲーム機業界の立場とは相容れない存在です。
以前GaikaiチーフプロダクトオフィサーNanea Reeves氏がすべての現行ゲーム機メーカーが次世代機を用意するとは限らないと発言していましたが、クラウドゲーミングはゲーム業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めていると言えます。ソニーのみならず任天堂やマイクロソフトにとっても本来は将来ライバルになる可能性があったのです。
ところがSCEはGaikai買収を通じて新たなクラウドサービスの立ち上げ、ネットワークビジネスを拡大していく意向を表明しました。
もともとソニーがGaikaiと提携するのではとの情報はありました。ところがSamsungがスマートテレビでがクラウドゲーミングサービスを開始し、そのパートナーがGaikaiと報じられたことからソニーはクラウドゲーミングのもう一つの雄であるOnLiveと提携するのではないかとの憶測も流れましたが、ソニーが選んだのは提携という緩い手段ではなく買収でした。将来のライバルになり得る存在を自らに取り込んでしまったことになります。
ソニーは赤字続きのテレビ事業などを中心に据えず、SCEの事業に注力して行く方針でしたが、今回のGaikai買収はそのソニーの将来像を最も象徴する出来事ではないでしょうか。
ソニーのゲームという良質なコンテンツを活用するネットワークビジネスは、PCやタブレット、スマートフォンといったソニー製デバイスにも当然反映させることができます。今後数年以内に発売が予想されているPlayStation 4にも活用するのは間違いありません。もちろんブルーレイのような物理メディアによるコンテンツ販売も継続するとは思いますが、クラウドゲーミングによって例えば後方互換性をハードウェア側でサポートする必要がなくなるメリットや、大容量ストレージの要らない安価なモデルによるシェアの拡大なども視野に入って来ます。従ってGaikai買収がPlayStation 4のコンセプトにも大きな影響を与えることは必死です。数年後が楽しみになって来ましたね。