wololo.netで、wololo氏がPlayStation VitaでPSOne起動に成功した(カーネルexploitでPOPSを動作させた)匿名のハッカーへのインタビュー記事を掲載していました。
PlayStation VitaでPSOneタイトルの起動に成功した匿名のハッカーが今Vitaシーンで一番気になる人物ですが、現在開発中断中という話も聞こえてきます。謎に包まれているその人物へwololo氏がインタビューを試みました。
翻訳でお伝えします———————–
The Z氏は、ある匿名ハッカーがPS VitaでPSOneゲームを起動したことを示す動画を公開しました。私は第三者を通じてそのハッカーにインタビューを試みました。最初は拒否されましたが私は諦めが悪いので(笑)ちょっと粘ったところ、2回目に第三者を通じて了解を取り付けることができました。その時のお話をしようと思います。
謎に包まれたそのハッカー、仮にTony氏と呼びますが、単にチャットで話した状態なので彼の本名は分かりません。彼はPS VitaのPSPエミュレータのダンプデータを公開し、ビデオを通じていまだ公式機能として搭載されていないPS VitaでのPSOneタイトル起動に世界で初めて成功したことを公開しました。
まだ発達段階のPS VitaシーンにとってエミュレータのダンプとPSOne起動は最も衝撃的なニュースでしたが、それを成し遂げたTony氏は今までのハッカーとは考え方が全く違いました。彼は暇さえあれば”パルクール”(飛んだり跳ねたりしながら高いところから飛び降りたり走り回ったりするスポーツらしいです)やピアノを楽しむ16歳です。そんな彼はインタビュー前に私にこう言いました。
「ボクの友達は誰もボクがプログラムできるなんて思ってもいないですよ。でもPS VitaでPSOneを起動したあのビデオの時以来全くプログラムしてないし、そもそも地位とか名誉には興味がないんです。だから最初はインタビューを断ったんです。」
私は今回のハッキングがシーンにとっていかに重要なのかを説明しましたが、Tony氏は自分のことをとても謙遜していました。
「ボクのexploitはそんなに特殊なものじゃないですよ。確かにカーネルexploitは貴重だけれど、ボクは他の人達のようにハッカーらしい発想がないのです。ボクはみんなに全部公開してシェアしよう思ってます。見せるだけ見せて公開しないようなのも嫌いですし。」
exploitをリリースするのか聞いたところ、こんな答えが返ってきました。
「みんなが望むならカーネルexploitをソースコード付けて公開するよ。」
カーネルexploitの存在が明かされるとハッカーは外部からの圧力をかけられがちです。ISOローダーがどうだとかソニーがパッチするだとかそれこそ自分の周りが騒がしくなります。
「でも、そんな状態でみんな自分の生活どうしてるの?ソニーはパッチすると思うよ。でもそんなこと心配してもしょうがないじゃないですか。カーネルexploitはとりあえずここにあって使えるから別にそれでいいんじゃないですか。」
Tony氏はあっさりそう言い切ります。
しかし、ハッカーがソニーのビジネスに与える影響について話が及ぶと次のように話しました。
「VHBLは人畜無害だけど、そりゃPSPのカーネルexploitとなると誰もPSNでPSPのゲームを買わなくなる可能性があるから。」
実際Tony氏のexploitを使えばPS VitaのPSPエミュレータ上でCFWを動作させることが可能になります。
「実は自分でCFW作っちゃったんです。普通のCFWですので特別凄いものはないです。典型的なCFWで、プラグイン、ISOゲーム起動、CPUクロック調整、PSOneゲームにHomebrewとかも。(PSOneゲームに関しては)ボクがPOPSモジュールをエミュレートしたんですけど、動かすだけならそんなに難しくはありませんでした。理論的にはVSH丸ごとエミュレートできますから。」
私はTony氏に、PSPエミュレータより先の、PS Vitaの内部のもっと深いところの調査をしているのか聞いてみたところ、Vita自体には興味を示しませんでした。
「PS VitaならエミュレーターとPSPゲームだけで十分かな。Vitaのゲームは一つも持ってないし、おこづかいの使い道はディスコいったり服買ったり酒飲んだり(笑)」
最後に何かありますかと尋ねると、次のように話しました。
「自分のことをカッコ良く見せたいわけじゃないけど、ボクがやったのは単に一晩で、しかも4時間程度でPS VitaにCFWを移植しただけです。他に何もすることがなかっただけなんですけどね。ボクが自慢できるものって言えばピアノとかパルクールなんですけど、ハッキングみたいなオタクっぽいのだと自分の時間がなくなっちゃうじゃないですか。そんなこと言うとこれ読んでる人たちは怒るかもしれないし、ボクのことを嫌な奴だと思うかもしれないけどボクは気にしないです。女の子とか友達とかの話なら気にしますけどね。あとは家族のこととか学校とか。もしオタクなんて言ってることに腹を立ててる人がいたら、好きなことやったりPCなんて触ってないで泳ぎに行ったりしてみるといいと思いますよ。ボクも以前はオタクだったんです。でも今は180度変わりました。」
わずか16歳なのに私が人生の中で成し遂げた成果よりも遥かに大きなハッキングを成し遂げながらも控えめなのが印象に残りました。そして既にハッカーでいることより実生活を大事にしています。
今回のインタビューではハッキング自体には触れることがありませんでしたが、謎の匿名ハッカーと呼ばれた人物にプログラミングスキルがあってPSPのCFW(PS Vitaのエミュレーターという一歩進んだ技術向けでも)なら作れるだけの技術を持っていることは話してみて十分わかりました。今後の進展には期待できそうです。