GNVRで、次世代ゲーム機はGoogle製になるかもしれないと伝えていました。
今現時点で、PC業界からゲーム業界への参入があるとするとマイクロソフトに続くのはどこかを問われて、Googleを挙げる人はいないかもしれませんが、実は環境だけは整いつつあります。
Googleはもう検索エンジンの代表格というだけではなくなりました。今や日常のITといわれる枠の中には必ずGoogleがあります。
今Googleと言えば、Android OSでAppleのライバルとして、Google+でFacebookのライバルとして、そしてGoogle検索エンジン、Crome、Android OS、Google Docsなどでマイクロソフトのライバルと、非常に多くの競合他社を持つ企業となっています。最近ではモトローラ(Motorola Mobility)を買収すると発表し携帯電話ハードウェア事業と家庭向けセットトップボックス事業にも参入することになりました。次にGoogleが目指すものは何でしょうか。
今やAndroidマーケットは携帯電話ゲーム市場で大きな地位を占めています。現在はiOSに続くAndroidという位置ですが、Apple1社で単一ハードを販売するiPhone/iPodTouchよりもAndroidの方が数の上では優勢ですので近い将来Androidが最も大きな市場になるのはほぼ間違いないでしょう。
一方でゲーム市場での主力は、特に北米では携帯ゲーム機ではなくWiiやPlayStation3、Xbox 360といった「据え置き型ゲーム機」です。かつてゲーム市場はいわゆる「オタク市場」だった時期もありましたが、現在ではファミリー層を主力に据えた市場という位置付けに変わってきておりマーケットとしてはかなり巨大です。日本ではあまりなじみがありませんが北米ではXbox 360こそゲーム機の王者であり、その王者ですらモーションコントローラーKinectでファミリー層に焦点を当てだしたことからも、いかにそのマーケットが重要であるかを物語っています。
その重要なマーケットで存在感が乏しいのが今のGoogleです。そして、現状から一歩踏み出すかのような取り組みをGoogleが始めています。
それが”Native Client”。
Native Clientは、ウェブブラウザを通してネイティブのコンパイル済みコードを実行できる技術です。Native ClientについてはTechCrunchに分かりやすく書かれています。
つまり、Native ClientによりGoogleはCやC++のコードをブラウザ内で実行できるため、開発者は直接システムハードウェアへのアクセスが可能になりハイエンドなゲームの配信が実現できるというのです。
もちろんインターネットはGoogleの専門分野ですのでセキュアなインターネット接続と、ユーザー側ではコードを実行している環境だけという海賊版とは無縁の世界ができ上がります。
Googleは今後ゲームコントローラーによるタイムラグのないマルチプレーヤー接続のサポートを計画しています。まずこれが、PCのブラウザを通して据え置き型ゲーム機と同等のクオリティを実現する第一歩になるかもしれません。
Googleには資金力があるため、その気になればどんな業界にも参入が可能です。その気になるかどうかが問題ですが、Android2.3でゲームコントローラーのサポートをするなど(SCEのPlaystation Suiteとの関係もあるとは思いますが)ゲームに関してはかなり積極的だと思って良いでしょう。
実際にGoogleが据え置き型ゲーム機のハードウェアを開発しようとするならば、ノウハウがない現状を考えると企業買収という形を取る可能性が高いでしょう。しかし、据え置き型ゲーム機の生産ノウハウは事実上任天堂、ソニー、マイクロソフトの3社であり、その買収は非常に考えにくいところです。特にGoogleのNative Client技術の場合、ユーザーに新規に購入してもらわなければならない専用ハードウェアを販売するメリットがなく、極論すればハードウェアはChromeさえ動作すれば良い訳です。WiiやPlayStation3、Xbox 360でCromeがサポートされれば「made by Google」のゲームタイトルがCromeから起動する、という時代が来るかもしれません。