世界で初めて有志により行われたPSPのHomebrewコンテスト”PSP Genesis Competition 2011″の1位から3位までの受賞者が決定いたしました。
全作品の応募総数は111でした。(全応募作品とダウンロード先はここにあります)
審査員はHellcat氏、Lampworker氏、Davee氏、そしてWololo氏の4名です。その4名が白熱した議論を重ねた結果、ついに受賞者が決まりました。
審査はおよそ1ヶ月間掛けて審査員の4名が個々にHomebrewを試して採点し、数日間かけて審査会議が行われたそうです。最終的に受賞者を決定する際には2時間にも及ぶチャット上でのアツい議論が交わされた後、ようやく受賞者決定に至ったそうです。
このPSP Genesis Competition 2011を通して、停滞気味だったPSPシーンが再び大きな盛り上がりを見せました。ゲームやプラグイン、ユーティリティなど多数が応募作品としてエントリーされたおかげで日本を含め世界中のブログなどで伝えられたことはご承知の通りだと思います。PS Vita発売を目前にしてモデル末期の様相を呈してきたPSPですが、まだまだPSPシーンは不滅であることを世界に示したことになります。
1位から3位までの受賞者が決まりましたが、PSP Genesis Competition 2011はこれで終わりではありません。
まだ/talkフォーラムメンバーの投票によるによる”オーディエンスチョイス”やPSPGENでの投票によるベスト3、PSP-Hacksフォーラムメンバー投票で選ばれるベストHomebrew、DaXHordes.orgフォーラムメンバーの投票によって選ばれるベストHomebrew、Xtreamluaフォーラムメンバーの投票によって選ばれるベストHomebrew、wololoが気に入ったオープンソース賞(ただしこれはwololo氏の独断にて決定)といった賞はまだ投票中で、今回受賞できなかったHomebrewにもチャンスはあります。
/talkフォーラムメンバーの投票については(オープンソースwololo賞もだと思います)今回受賞した3作品は選考から除外するとのことですので、まだまだ目が離せません。
それでは優勝作品から順にお伝えします。
優勝
LameCraft by Drakon
httpv://www.youtube.com/watch?v=bird5gOXrJ8
httpv://www.youtube.com/watch?v=klfa3DtnA6M
ランダムで生成される3次元仮想空間内をプレーヤー視点で自由に歩き回り、多種に渡るブロックを撤去/配置して自分だけのオリジナル空間を作成するシミュレーションゲームです。
すべてのボタンを使用するためSELECTボタンでジャンプなどボタン操作に多少トリッキーなところはありますが、自己満足の世界に浸れる素晴らしいゲームです。
しかも、時間の概念もあるんですよ。日が昇るとか。
敵を倒したり、パズルを完成させたりと明らかな目標があるわけではなく、オリジナルの空間を作るという発想をPSPで実現したコーディングも素晴らしいです。
今回のPSP Genesis Competition 2011では一般的に需要が高くPSPハックの歴史そのものと言えるダウングレーダーやCFWのエントリーがあったため、/talkオーディエンス投票でもその2つに投票が集中するのではないかと危惧していましたが、投票開始時からその2つ以外に票を伸ばしているHomebrewが一つだけありました。それがこのLamecraftです。
効果音はありますがBGMがないのでちょっと寂しい感じはしますが、それを補うだけの内容は十分実感することができるHomebrewです。ハマりゲー系のゲームだと思います。
Drakon氏曰く、こんなちっぽけなプロジェクトが優勝なんて…と謙遜してつぶやいていましたが、そんなことはありません。PSP Genesis Competition 2011のスポンサーとして賞金を贈るに相応しいHomebrewだと思います。そうそう、私はスポンサーとしてちゃんと本人に連絡しなきゃいけませんね。
2位
PRO-B6 Custom Firmware by Coldbird / Virtuousflame
言わずと知れた、オープンソースとして公開されたCFW PROです。PSPの歴史はCFWの歴史といっても過言ではありません。PSP Genesis Competition 2011に最新ファームウェアベースのCFWがエントリーされたら受賞総ナメだろうとは思い少し危惧していました。その辺の話は後でします。
3位
0xFFFFFFFFailSploit 6.39/6.38 Downgrader v3.5 by some1
こちらもPSPの歴史と共に歩んできたといえるダウングレーダー、つまり最新ファームウェアでのカーネルモードexploitを形にしたものです。
これに関しては、PSP Genesis Competition 2011に応募されること自体が予想外でした。カーネルexploitはユーザーモードexploitと異なりおいそれと見つかるものではないためです。
タイミングとして6.20までしかカーネルexploitが見つかっていなかったタイミングで応募時の最新ファームウェア(6.38)で見つかったことがポイントです。
正直に言うと、カーネルexploitのエントリーはありかよ、と多少は思いました。が、Homebrewであることに違いありませんので、ダウングレーダーとして開発できたsome1氏の努力は評価に値すると思います。
今回は優勝と2位、そして3位と4位の差が殆どないほど接戦だったそうです。特に3位と4位はかなり意見が分かれたそうです。そのため、本来は3位までの発表の予定でしたが急遽特別賞として4位というのも発表することになりました。賞金はないと思います(npt氏が自分で出したら別ですが)。名誉が与えられるだけかな。
4位“Most Ambitious Project”(最も意欲的なプロジェクト)
SHELL by arnold
SHELLが4位になったのは、このコンセプトがユーザーの支持を得るかどうかが分からないという不安さによるものです。ただし、npt氏によると「これぞ真のカスタマイズファームウェアとしての方向性を示している」としてかなり評価が高かったようです。今回は特別賞の4位扱いでしたが、今後もしかすると大きく化ける可能性があると審査員は判断しているようです。
今回の結果で少し安心したのは、CFWとexploitでワンツーフィニッシュにならなかったことです。優勝したDrakon氏でさえ、優勝は6.39 PRO B-6だと完全に思い込んでいたようですが、殆どの人が同じように思っていたのではないでしょうか。
PSPユーザーとしてはゲームやプラグインよりも、Homebrewを楽しむための前提となる(署名付きであれば不要とも言えますが)CFWやexploitの方を重要視するのは当然の話です。ただ、来年以降もコンペが続くならばCFWやHEN、そしてカーネルexploitといったものが作品としてエントリーされてしまうと開発者の皆さんの参加モチベーション低下(どうせ入賞するのはCFWだし、といった印象を持たれてしまう)に繋がるのではないかと危惧しています。
今回は途中からwololo氏が応募作品をゲーム、プラグイン、アプリケーションの3つに分類していました。この分類が審査に影響を与えた訳ではありませんし、あくまでもユーザーが内容を把握しやすいように分類してあるだけですが、もし来年PSP Genesis Competition 2012が行われるのであれば(PS Vita発売後ですね。PSPシーンが存続していることを期待します)、分類分けしたそれぞれにも何らかの形で賞を作れないものかnpt氏やwololo氏に提案してみます。提案するならまたスポンサー、やります。